新規顧客獲得とは?基本の考え方
新規顧客獲得とは、これまで自店・自社と取引のなかった人に初めて商品やサービスを利用してもらうための取り組み全体を指します。 チラシやSNS、検索広告、紹介制度といった個々の施策はその手段にすぎず、 「誰に」「どの場面で」「何を伝えて」「どう行動してもらうか」を設計することまでを含めて、新規顧客獲得と呼ぶのが一般的です。
店舗やサービスの売上は、ごく単純に分解すると「新規顧客からの売上」と「既存顧客(リピーター)からの売上」の合計です。 既存顧客は、引っ越しや生活の変化、好みの変化などによって一定の割合で離れていくため、 新しいお客さまとの出会いがまったく生まれない状態が続くと、売上は少しずつ細っていきます。 新規顧客獲得は、事業の「入口」を絶やさないための土台の仕事だと考えると位置づけがわかりやすくなります。
既存顧客の維持との違い
マーケティングの世界では、新規顧客の獲得には既存顧客の維持の数倍のコストがかかると言われることがあります(いわゆる「1:5の法則」)。 この数字は業種や商材によって大きく異なり、あくまで一般論としての目安ですが、 「まだ自分を知らない人に知ってもらい、信頼してもらい、初めて行動してもらう」ことに手間がかかるという構造自体は、多くの事業者が実感しているところでしょう。
一方で、既存顧客の維持だけに力を注ぐと、顧客層が固定化・高齢化し、いずれ全体の母数が縮んでいきます。 新規顧客獲得とリピート施策は二者択一ではなく、「入口」と「定着」という役割の異なる両輪です。 再来店の仕組みづくりについては、リピート率の計算方法と上げ方の記事で詳しく解説しています。
新規顧客獲得が難しくなっている背景
近年、新規顧客獲得の難易度が上がっていると感じる事業者は少なくありません。その背景として、一般に次のような変化が挙げられます。
- 情報の選択肢が増えた —— 検索、地図アプリ、SNS、口コミサイト、予約サイトなど、お客さまが比較に使う場所が分散し、一つの施策だけでは目に触れにくくなっています
- 比較が当たり前になった —— 初めてのお店を選ぶ前に、複数の候補を検索して口コミや料金を見比べる行動が一般化しています
- 広告の単価が上がりやすい —— 同じ地域・同じ業種で広告を出す事業者が増えると、クリック単価などの広告費が上がりやすい傾向があります
- 「知らない店」は候補に入りにくい —— 比較の段階で思い出してもらえない、検索しても名前が見つからないお店は、そもそも検討のテーブルに乗りにくくなります
こうした環境では、「とにかく広告を出す」「とにかくチラシを撒く」といった単発の施策より、 お客さまがお店を知り、比べ、選ぶまでの流れ全体を見渡して、どこで取りこぼしているかを把握するアプローチが重要になります。
新規顧客が生まれるまでの流れ
新規顧客獲得の戦略を立てる前に、お客さまが「初めての利用」に至るまでの流れを整理しておきましょう。 マーケティングではこれを「ファネル(じょうご)」と呼び、段階ごとに人数が絞られていく様子を表します。 店舗ビジネスやサービス業では、おおむね次の4段階で考えるとわかりやすくなります。
- 認知 —— お店・サービスの名前や存在を知る段階。通りがかり、SNS、検索候補、知人の話題、チラシなどがきっかけになります
- 興味・関心 —— 「ちょっと気になる」と感じ、名前で検索したり、Webサイトや口コミを見たりする段階です
- 比較・検討 —— 他の候補と料金・場所・雰囲気・口コミなどを見比べる段階。ここで候補に残れるかどうかが分かれ目になります
- 行動(初回利用) —— 予約・来店・問い合わせ・購入など、実際に最初の一歩を踏み出す段階です
新規顧客が増えないとき、その原因はこの4段階のどこかにあります。 そもそも名前が知られていない(認知の不足)のか、知られているのに興味を持たれていない(訴求の不足)のか、 比較で負けている(差別化や情報の不足)のか、行動の手前で離脱している(予約導線の不足)のか—— 詰まっている段階によって、打つべき手はまったく変わります。
「指名検索」は認知と行動をつなぐ橋
この流れのなかで、近年とくに注目されているのが指名検索です。 指名検索とは、店名・会社名・サービス名など固有の名前を直接入力して行われる検索のことで、 「名前を知っていて、もっと詳しく知りたい」という人による検索だと考えられます。 チラシやSNSで名前を見た人、知人から話を聞いた人の多くは、来店や問い合わせの前に一度その名前で検索するのが一般的です。
つまり指名検索の数は、認知施策がどれだけ「名前を覚えてもらう」ことに貢献しているかを測る手がかりになります。 指名検索の調べ方と増やし方は、指名検索とは?調べ方と増やし方をわかりやすく解説で詳しく紹介しています。
一般検索と比較検討の関係
指名検索と対になるのが、「地域名+業種」(例:「〇〇駅 ネイルサロン」)のような一般検索です。 まだ特定のお店を決めていない人が候補を探す検索で、新規顧客との最初の接点になりやすい場面です。 一般検索をした人は、検索結果や地図、口コミを見ながら複数のお店を比較します。 このとき「どこかで名前を見たことがある」お店は、心理的に選ばれやすいとも言われています。 一般検索の場面で名前に触れてもらうことと、日頃から名前を覚えてもらうことは、新規顧客獲得の両輪と言えます。
新規顧客獲得戦略の立て方——6つの手順
ここからは、新規顧客獲得戦略を立てる具体的な手順を紹介します。 大企業向けの難しいフレームワークではなく、個人店や小規模事業者でも紙1枚で整理できる手順にまとめました。
- 現状の数字を把握する —— 直近3〜6か月の新規顧客数、その来店・問い合わせのきっかけ(どこで知ったか)、客単価、2回目以降の利用率を書き出します。 正確なデータがなければ、受付時に「何でお知りになりましたか」と聞くだけでも十分な材料になります。
- ターゲット(来てほしいお客さま)を絞る —— 年齢・性別だけでなく、「どんな悩みや目的を持ち、どんな場面でお店を探すのか」まで具体的に描きます。 すでに通ってくれている優良顧客の共通点から逆算すると、無理のない人物像になります。
- 選ばれる理由(強み)を言葉にする —— 比較検討の段階で「なぜこのお店なのか」を一言で伝えられるかが重要です。 価格の安さだけに頼ると値下げ競争に巻き込まれやすいため、技術・雰囲気・立地・専門性・対応時間など、価格以外の理由を探します。
- 詰まっている段階を特定する —— 前章の4段階(認知→興味→比較→行動)のどこで取りこぼしているかを見極めます。 たとえばWebサイトの閲覧数はあるのに予約が少なければ「行動」の段階、そもそも店名で検索されていなければ「認知」の段階に課題がある可能性が高いと考えられます。
- 施策を選び、予算と役割を割り振る —— 詰まっている段階に効く施策を選びます。認知を広げる施策、比較で選ばれるための施策、予約の手間を減らす施策は、それぞれ別物です。 一度にすべてを始めず、予算と手間に見合う2〜3個に絞るのが現実的です。
- 指標を決めて検証する —— 施策ごとに「何が増えれば前進とみなすか」を決め、月に1回は数字を振り返ります。 新規顧客数だけでなく、指名検索数・Webサイトの閲覧数・問い合わせ数など、途中段階の指標も見ることで、成果が出るまでの変化を捉えやすくなります。
戦略を考えるときに役立つ3つの視点
手順を進めるうえで、次の3つの視点を持っておくと判断がぶれにくくなります。
- 「誰に」を先に決める —— 施策(手段)から考えると、ターゲットとずれた媒体に予算を使ってしまいがちです。人物像を決めてから、その人が普段見ている場所を選びます
- 短期と中長期を分ける —— 割引キャンペーンのように短期で反応を集める施策と、認知や評判のように時間をかけて積み上がる施策は、評価の時間軸を分けて考えます
- 獲得した後まで設計する —— 初回で終わってしまう新規顧客が多いと、獲得にかけた費用の回収が難しくなります。初回来店時の体験や次回予約の案内まで含めて設計します
新規顧客獲得の方法一覧——オンラインとオフライン
新規顧客獲得の方法は多岐にわたります。ここでは、店舗ビジネスや小規模なサービス事業者が取り組みやすい代表的な方法を、 オンライン(Web)とオフライン(紙・対面)に分けて整理します。どの方法にも向き・不向きがあり、成果を約束するものではない点に注意してください。
オンラインの主な方法
- SEO対策(自社サイト・コラム) —— 検索結果ページでの上位表示を目指す取り組み。時間はかかりますが、情報資産として積み上がるのが特徴です。基本は自分でできるSEO対策の基本も参考にしてください
- MEO対策(Googleビジネスプロフィール) —— 地図検索での露出を高める取り組み。店舗ビジネスでは、来店前に地図で場所や口コミを確認する人が多いため、基盤として整えておきたい施策です
- リスティング広告 —— 検索結果ページの広告枠にクリック課金で掲載する広告。今まさに探している人に届けやすい一方、クリック単価の高い業種では費用がかさみやすい傾向があります
- SNS運用・SNS広告 —— InstagramやLINEなどで、写真や動画を通じて雰囲気や実績を伝える方法。認知の拡大と比較検討の材料提供の両方に関わります
- 予約サイト・ポータルサイトへの掲載 —— 集客力のある外部サイトに掲載する方法。掲載料や手数料の負担と、自店の指名につながりにくい構造に注意が必要です
- サジェスト広告(検索候補の活用) —— 検索窓に表示される検索候補を活用して、店舗名・サービス名の認知向上を図る広告手法。検索結果に至る前の「入口」で名前に触れてもらうことを図るものです
オフラインの主な方法
- チラシ・ポスティング —— 商圏内に直接届けられる方法。地域密着型の店舗では今も有力な選択肢の一つです。詳しくはチラシ・ポスティングの記事で解説しています
- 紹介制度 —— 既存のお客さまからの紹介を促す仕組み。信頼のある人からの紹介は、比較検討の手間を省いてもらえる点で新規顧客獲得と相性が良いとされています
- 店頭・看板・のぼり —— 通行人に向けた認知施策。立地に依存しますが、継続的な接触を生みやすい方法です
- 地域イベント・異業種連携 —— 近隣店舗との相互紹介や地域イベントへの出店など、地域内のつながりを活かす方法です
- 営業・訪問(BtoB) —— 法人向けサービスでは、展示会・セミナー・紹介営業なども新規顧客獲得の主要な手段になります
ファネルの段階別に見た施策の役割
方法を選ぶときは、「どの段階に効く施策か」で整理すると、重複や抜け漏れに気づきやすくなります。 下の表は、主な施策が主に関わる段階の一般的な整理です。
| 方法 | 主に関わる段階 | 特徴 | 成果が見えるまでの時間軸 |
|---|---|---|---|
| チラシ・看板 | 認知 | 商圏内に直接届く | 短期〜中期 |
| SNS運用 | 認知・比較 | 雰囲気や実績を伝えやすい | 中長期 |
| SEO対策 | 興味・比較 | 情報資産として積み上がる | 中長期 |
| MEO対策 | 比較・行動 | 地図検索・口コミと連動 | 中期 |
| リスティング広告 | 比較・行動 | 探している人に届けやすい | 短期 |
| 紹介制度 | 認知〜行動 | 信頼を伴う接点になる | 中期 |
| サジェスト広告 | 認知・興味 | 検索の入口で名前に触れてもらうことを図る | 中長期 |
※表は各施策が主に関わる段階を一般的な仕組みから整理したもので、効果や成果が出る時期を保証するものではありません。実際の結果は業種・地域・実施内容によって異なります。
たとえば「認知」の段階に課題があるのに、「行動」の段階に効く施策ばかりを強化しても、母数が増えないため伸び悩むことがあります。 反対に、認知施策だけを強化しても、予約導線や口コミが整っていなければ比較の段階で取りこぼしてしまいます。 各施策の方向性をもっと幅広く知りたい場合は、店舗集客の方法一覧もあわせてご覧ください。
新規顧客獲得コストの考え方と計算方法
新規顧客獲得の取り組みを続けるうえで欠かせないのが、「新しいお客さま1人を獲得するのに、いくらかかっているか」という視点です。 これを新規顧客獲得コスト(顧客獲得単価、CPA・CACなどとも呼ばれます)といいます。 施策ごとの費用対効果を比べたり、どこまで広告費をかけてよいかを判断したりする際の基本となる数字です。
新規顧客獲得コストの計算式
基本の計算式はシンプルです。
FORMULA
新規顧客獲得コスト = 新規顧客獲得にかけた費用 ÷ 獲得した新規顧客数
たとえば、架空の例として、ある月にチラシ制作・配布に6万円、SNS広告に4万円、合計10万円をかけ、新規顧客が20人来店したとします。 この場合の新規顧客獲得コストは「10万円 ÷ 20人 = 5,000円」です。 施策ごとに分けて計算できれば、「チラシ経由は1人あたり◯円、SNS経由は1人あたり◯円」と比較できるようになります。
注意したいのは、「費用」に何を含めるかです。広告費だけでなく、チラシの印刷・配布費、外部への制作委託費、 割引キャンペーンで値引きした分、場合によっては自分やスタッフが施策に使った時間(人件費)も含めて考えると、実態に近い数字になります。 どこまで含めるかは事業者ごとに決めて構いませんが、毎月同じ基準で計算することが大切です。
新規顧客獲得率の計算方法
獲得コストとあわせて見ておきたいのが新規顧客獲得率です。これは、接触した見込み客のうち、どれくらいの割合が初回利用に至ったかを示す数字で、一般に次のように計算します。
FORMULA
新規顧客獲得率(%)= 新規顧客数 ÷ 接触した見込み客数 × 100
「接触した見込み客数」の取り方は施策によって異なります。Webであればサイトや予約ページの訪問者数、 チラシであれば配布枚数、問い合わせ対応であれば問い合わせ件数を分母にするのが一般的です。 たとえば架空の例で、予約ページの訪問者が500人、そのうち初回予約が15人であれば、獲得率は3%となります。 この数字が低い場合は、比較・行動の段階(料金のわかりやすさ、予約の手間、口コミの見え方など)に改善の余地があるかもしれません。
なお、全体の顧客に占める新規顧客の割合を「新規顧客比率」と呼ぶこともあります。 こちらは「新規顧客数 ÷ 全顧客数 × 100」で求め、既存顧客とのバランスを見る指標として使われます。 名前が似ているため、社内で数字を共有するときは、どちらの意味で使っているかをそろえておくと混乱を防げます。
「いくらまでかけてよいか」はLTVから考える
新規顧客獲得コストが高いか安いかは、その金額だけでは判断できません。 判断の基準になるのが、1人のお客さまが取引期間全体でもたらす利益の目安であるLTV(顧客生涯価値)です。 一般的には、次のような考え方で概算します。
FORMULA
LTV(概算)= 平均客単価 × 平均利用回数 × 粗利率
架空の例として、客単価8,000円、平均利用回数5回、粗利率60%のお店であれば、LTVの概算は「8,000円 × 5回 × 60% = 24,000円」です。 このお店で新規顧客獲得コストが5,000円であれば、獲得コストをLTVの範囲内で回収できる計算になります。 反対に、初回だけで離れてしまうお客さまが多い場合、平均利用回数が下がりLTVも小さくなるため、同じ獲得コストでも採算が合わなくなります。
つまり、新規顧客獲得コストを考えるときは「獲得コストを下げる工夫」と「LTVを伸ばす工夫」の両方が対象になります。 CPAとLTVの関係は、広告の費用対効果の考え方——CPA・LTVを初心者向けに解説でさらに詳しく整理しています。
集客施策ごとの費用構造の違い
獲得コストの見通しを立てるには、施策ごとに「どのように費用が発生するか」を理解しておくと役立ちます。 クリックごとに費用がかかるもの、月額で一定の費用がかかるもの、成果が出るまで時間がかかるものなど、費用の性質は施策によって異なります。
| 比較項目 | SEO対策 | リスティング広告 | サジェスト広告 |
|---|---|---|---|
| 掲載を想定する面 | 検索結果ページ | 検索結果ページの広告枠 | 検索窓に表示される検索候補 |
| 主に関わる段階 | 興味・比較 | 比較・行動 | 認知・興味 |
| 費用のかかり方 | 施策の内容による | クリックごとに課金 | 月額制 |
| 費用の目安 | 月額10万〜50万円程度 | 月額20万〜50万円程度 (広告費+運用費) |
月額2万円〜 |
※表は各施策の一般的な仕組みの違いを示したものです。SEO対策・リスティング広告の金額は一般的な相場の目安であり、施策内容・事業者・出稿条件により大きく異なります。サジェスト広告は検索候補への表示を保証するものではありません。費用は実施条件によって変わります。
各施策の費用相場の詳しい考え方は、リスティング広告・SEO対策・MEO対策の費用相場の記事で解説しています。 Adnymousの料金については料金ページをご覧ください。
獲得コストを見直すときのポイント
新規顧客獲得コストが想定より高いと感じたときは、いきなり施策をやめるのではなく、次の観点から原因を探ることをおすすめします。
- ターゲットとのずれ —— 届けている相手が、来てほしいお客さま像と合っているか
- 途中の離脱 —— 広告やチラシで興味を持った人が、Webサイトや予約画面で離脱していないか
- 計測の漏れ —— 実は施策経由で来店しているのに、きっかけを聞いていないため数字に表れていない可能性はないか
- 時間軸の誤解 —— 認知施策のように成果が出るまで時間がかかる施策を、短期の数字だけで判断していないか
- 初回後の定着 —— 獲得コストそのものより、2回目以降の利用が少ないことが採算を悪くしていないか
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業種別に見る新規顧客獲得の観点
新規顧客獲得の基本は共通していても、お客さまがお店を探す場面や比較のポイントは業種によって異なります。 ここでは代表的な業種ごとに、意識しておきたい観点を整理します。
ヘアサロン・ネイル・まつげ・エステなどの美容サロン
美容サロンは、「地域名+業種」で検索し、写真や口コミで雰囲気・技術を見比べてから予約するお客さまが多い業種です。 比較の段階では、施術例の写真、料金のわかりやすさ、担当者の雰囲気が判断材料になりやすいため、 Instagramや予約サイト、Googleビジネスプロフィールの情報をそろえておくことが基本になります。 また、予約サイト経由の新規顧客が多いサロンでは、手数料の負担と、自店の名前を覚えてもらいにくいという構造にも目を向けたいところです。 サロン集客の全体像はサロン集客の記事、ネイル・まつげはネイル・まつげサロンの集客で詳しく解説しています。
パーソナルジム
パーソナルジムは、1回あたりの単価や契約金額が比較的大きく、お客さまが慎重に比較検討する傾向があります。 体験セッションへの申し込みが新規顧客獲得の主な入口になるため、トレーナーの人柄や指導方針、料金体系、通いやすさを事前に伝える情報設計が重要です。 検討期間が長くなりやすいぶん、何度か名前に触れてもらう「反復的な接触」を意識しておくと、比較の段階で思い出してもらいやすくなると考えられます。 詳しくはパーソナルジムの集客の記事をご覧ください。
整体院・リラクゼーション
整体院やリラクゼーションサロンは、「肩こり」「腰」など悩みの言葉と地域名を組み合わせて探されることが多い業種です。 悩みに寄り添った説明や施術の流れ、初回の所要時間・料金を明示しておくと、初めての人の不安を和らげることにつながります。 近隣の住民や勤務者が主な商圏になるため、地図検索や口コミの整備と、地域内での認知の積み上げが両輪になります。 詳しくは整体院の集客の記事で解説しています。
飲食店
飲食店は、来店直前に地図アプリやグルメサイトで探されることが多く、「今すぐ」「近くで」というニーズへの対応が重要です。 一方で、宴会や記念日などの利用では事前に比較されるため、写真・メニュー・予約方法の見やすさが選ばれる理由になります。 常連客の口コミや紹介も新規顧客獲得の入口になりやすい業種です。飲食店の集客の記事もあわせてご覧ください。
士業・BtoBサービス・工務店など
税理士などの士業や法人向けサービス、工務店などは、検討期間が長く、契約金額も大きくなりやすい業種です。 お客さまは複数の事業者を比較し、Webサイトの情報や実績、問い合わせ時の対応を見て判断します。 「困ったときに思い出してもらえるか」が分かれ目になりやすいため、専門性を伝えるコンテンツや、社名・サービス名で検索されたときに信頼できる情報が並んでいる状態をつくることが重要です。 業種別の詳しい観点は、税理士の集客や工務店の集客の記事でも紹介しています。
新規顧客獲得の事例——架空のモデルケースで考える
ここでは、新規顧客獲得の考え方をイメージしやすくするために、架空のモデルケースを3つ紹介します。 いずれも実在の店舗・企業の事例ではなく、本記事のために作成した説明用の例です。数値も説明のための仮のものであり、同様の成果が得られることを示すものではありません。
モデルケース1:架空のヘアサロンA店——「認知」に課題があったケース
住宅街にある架空のヘアサロンA店は、口コミの評価は高いものの、新規顧客数が伸び悩んでいました。 受付で来店のきっかけを聞いてみると、ほとんどが既存顧客からの紹介で、検索や地図経由の新規顧客はわずかでした。 そこでA店は、課題を「技術の問題ではなく、近隣の人に名前を知られていないこと(認知の不足)」と仮定し、 Googleビジネスプロフィールの写真と情報を整え、近隣へのポスティングと、Instagramでの施術例の発信を始めました。
このケースのポイントは、施策を始める前に「来店のきっかけ」を記録し、詰まっている段階を見極めたことです。 さらに、施策の前後で店名の指名検索数を比べるという、途中段階の指標も設定しました。 新規顧客数そのものはすぐには変わらなくても、指名検索の推移を見れば「名前が知られ始めているか」を確認できる、という考え方です。
モデルケース2:架空のパーソナルジムB——「比較」で取りこぼしていたケース
駅前にある架空のパーソナルジムBは、リスティング広告から一定数のWebサイト訪問があるものの、体験申し込みにつながる割合(獲得率)が低いことに悩んでいました。 Webサイトを見直すと、料金が「要問い合わせ」になっており、トレーナーの紹介も簡素で、比較する人にとって判断材料が少ない状態でした。
そこでBは、料金の目安とコースの違い、トレーナーの経歴や指導方針、体験当日の流れをページに明記しました。 このケースでは、広告費を増やす前に「比較・行動」の段階の取りこぼしを減らすことを優先しています。 広告で集めた人が比較の段階で離れているなら、広告を増やしても獲得コストは改善しにくい、という考え方です。
モデルケース3:架空の会計サービスC社——「思い出してもらう」ことに課題があったケース
架空の会計サービスC社は、展示会やセミナーで名刺交換した見込み客は多いものの、実際の相談につながるのは一部でした。 見込み客の多くは「今すぐ必要ではないが、いずれ検討する」状態で、必要になったときにC社の名前を思い出せず、検索した別の事業者に相談していると考えられました。
そこでC社は、定期的なメールマガジンでの情報提供と、社名で検索されたときに実績や料金の考え方がすぐわかるWebサイトの整備に取り組みました。 このケースのように、検討期間が長い商材では、「接触した瞬間に獲得する」よりも「必要になったときに名前を思い出してもらう」ための反復的な接触が鍵になると考えられます。
POINT
3つのモデルケースに共通するのは、施策を選ぶ前に、ファネルのどの段階で取りこぼしているかを見極めている点です。 同じ「新規顧客が増えない」という悩みでも、原因が認知・比較・想起のどこにあるかで、打つべき手は変わります。
新規顧客獲得の効果測定と改善の回し方
新規顧客獲得戦略は、一度立てたら終わりではありません。施策を実行しながら数字を確認し、うまくいっている部分を伸ばし、詰まっている部分を改善する——このサイクルを続けることが大切です。
最低限そろえておきたい4つの数字
- 新規顧客数 —— 月ごとの新規来店・新規契約の数。施策経由かどうか(来店のきっかけ)もあわせて記録します
- 新規顧客獲得コスト —— 施策にかけた費用 ÷ 新規顧客数。施策別に分けて計算できると比較がしやすくなります
- 指名検索数 —— Google Search Consoleで、店名・サービス名を含む検索語の表示回数を確認できます。Googleビジネスプロフィールの検索語句も参考になります。調べ方は指名検索数の調べ方で解説しています
- 2回目以降の利用率 —— 獲得した新規顧客がどれくらい定着しているか。LTVの見通しに直結します
改善サイクルの回し方
- 月初に前月の数字を記録する —— 新規顧客数・獲得コスト・指名検索数・2回目利用率を、同じ表に並べて記録します
- 前月・前年同月と比べる —— 季節による変動がある業種では、前年同月との比較も行います
- 変化の理由を仮説として書く —— 「チラシを配った地域からの来店が増えた」「口コミが増えた後に予約が増えた」など、思い当たる理由を書き留めます
- 次月に試すことを1〜2個に絞る —— 一度に多くを変えると、何が効いたのかわからなくなります
- 3か月単位で施策を評価する —— 認知施策など時間のかかる施策は、1か月の数字だけで判断しないようにします
アクセス解析ツール(GA4など)を使っている場合は、検索経由の流入数や予約ページへの到達数も確認しておくと、 どの段階で離脱が起きているかを把握しやすくなります。ツールを使っていない場合でも、受付時の聞き取りと簡単な記録表から始めれば十分です。
新規顧客獲得のよくある誤解と実際
新規顧客獲得に取り組むなかで、陥りやすい誤解があります。代表的なものを「誤解→実際」の形で5つ整理します。
誤解1:「広告費を増やせば新規顧客は比例して増える」
実際:広告費を増やしても、届ける相手が変わらなければ、同じ人に繰り返し表示されるだけになることがあります。 また、比較や行動の段階で取りこぼしている場合、入口を広げても獲得数は思うように伸びないことがあります。 まずはファネルのどこに課題があるかを確認してから、予算の配分を考えるのが現実的です。
誤解2:「割引キャンペーンが一番効く」
実際:割引は初回の後押しにはなり得ますが、割引目当てのお客さまは2回目以降につながりにくいとも言われます。 割引に頼りすぎると、獲得コストに値引き分が上乗せされ、LTVも小さくなりがちです。 割引を使う場合も、価格以外の「選ばれる理由」とセットで伝えることが大切です。
誤解3:「口コミの評価が高ければ自然に新規顧客が増える」
実際:口コミは比較の段階で大きな判断材料になりますが、そもそもお店の存在を知られていなければ口コミも見てもらえません。 口コミの充実は「比較で選ばれる力」、認知施策は「比較の候補に入る力」と、役割を分けて考える必要があります。 口コミの基本は口コミ対策の基本の記事も参考にしてください。
誤解4:「新規顧客獲得コストは低いほど良い」
実際:獲得コストが低くても、その後ほとんど定着しないお客さまばかりであれば、事業全体としては採算が合わないことがあります。 反対に、獲得コストがやや高くても、長く通ってくれるお客さまが多ければ、十分に回収できる場合もあります。 獲得コストは単体ではなく、LTVとの比較で評価するのが基本です。
誤解5:「新規顧客獲得は短期で成果を出すもの」
実際:リスティング広告のように短期で反応が見えやすい施策もありますが、 認知度の向上や評判の積み上げは、時間をかけて効いてくる性質のものです。 短期施策と中長期施策を組み合わせ、それぞれに合った時間軸で評価することが、無理なく新規顧客獲得を続けるコツです。 認知度を高める考え方は、お店の認知度を上げる方法で詳しく解説しています。
新規顧客獲得の見直しチェックリスト
自店・自社の新規顧客獲得の取り組みを見直すときに使えるチェックリストです。「いいえ」が多い項目から優先的に手をつけると、改善の糸口が見つけやすくなります。
- 来てほしいお客さまの人物像(悩み・探す場面)を言葉にできているか
- 「なぜこのお店なのか」という選ばれる理由を一言で説明できるか
- 新規顧客の来店・問い合わせのきっかけを記録しているか
- 新規顧客獲得コストを、施策ごとに計算できているか
- LTV(客単価×利用回数×粗利率)のおおよその値を把握しているか
- 店名・サービス名で検索したとき、公式サイトや正しい店舗情報が見つかるか
- Googleビジネスプロフィールの営業時間・写真・料金などの情報が最新か
- Webサイトや予約ページで、料金の目安と予約方法がすぐにわかるか
- 指名検索数の推移を、月に1回は確認しているか
- 初回利用後に、次回の案内や再来店のきっかけを用意しているか
- 短期施策と中長期施策を分けて、それぞれの評価期間を決めているか
集客全体の見直しポイントは、「集客できない」時に見直す10項目チェックリストでも整理しています。 店名で検索しても見つからない場合の対処は、お店が検索で見つからないときの記事が参考になります。
用語ミニ解説
本文に登場した用語や、新規顧客獲得を調べる際によく出てくる用語を、初めての方向けに短く整理します。
- 新規顧客獲得コスト(CPA・CAC) —— 新しいお客さま1人を獲得するのにかかった費用。施策にかけた費用を新規顧客数で割って求めます
- 新規顧客獲得率 —— 接触した見込み客のうち、初回利用に至った人の割合。施策の「取りこぼし」を把握する手がかりになります
- LTV(顧客生涯価値) —— 1人のお客さまが取引期間全体でもたらす利益の目安。獲得コストの上限を考える基準になります
- ファネル —— 認知→興味→比較→行動と、段階ごとに人数が絞られていく流れを、じょうごの形にたとえた考え方です
- 1:5の法則 —— 新規顧客の獲得には、既存顧客の維持の5倍のコストがかかるとする経験則。業種によって異なる一般論です
- 指名検索 —— 店名・会社名・サービス名など、固有の名前を直接入力して行われる検索です
- 一般検索 —— 「地域名+業種」のように、名前を特定せずに条件で探す検索。新規顧客との最初の接点になりやすい検索です
- 検索候補(サジェスト) —— 検索窓に文字を入力すると表示される、関連キーワードの候補。検索エンジンが自動で生成します
- MEO対策 —— Googleマップなどの地図検索での露出を高める取り組み。Googleビジネスプロフィールの整備が軸になります
- リスティング広告 —— 検索結果ページの広告枠にクリック課金で掲載する広告。検索連動型広告とも呼ばれます
- Google Search Console —— どんな検索語で自社サイトが表示・クリックされたかを確認できるGoogleの無料ツール。指名検索数の把握に使えます
よくある質問
新規顧客獲得の方法にはどんなものがありますか?
新規顧客獲得戦略は何から考えればよいですか?
新規顧客獲得コストはどうやって計算しますか?
新規顧客獲得率はどう計算しますか?
新規顧客獲得コストはいくらまでかけてよいですか?
新規顧客獲得の事例を参考にするときの注意点はありますか?
指名検索は新規顧客獲得とどう関係しますか?
新規顧客獲得にサジェスト広告は使えますか?
Adnymousに相談するには何を準備すればよいですか?
まとめ
新規顧客獲得は、施策を選ぶことから始めるのではなく、「誰に来てほしいのか」「お客さまはどの段階で取りこぼされているのか」を把握することから始まります。 認知→興味→比較→行動というファネルで現状を整理し、詰まっている段階に合った施策を2〜3個に絞って取り組むのが、限られた予算と時間で戦略を立てる基本です。
あわせて、新規顧客獲得コスト(費用÷新規顧客数)と新規顧客獲得率を毎月同じ基準で記録し、LTVとの比較で採算を確認しましょう。 獲得コストを下げる工夫と、初回後の定着を高めてLTVを伸ばす工夫は、どちらも新規顧客獲得の一部です。 短期で反応を見る施策と、指名検索のように時間をかけて積み上がる認知の指標を分けて評価することで、施策の良し悪しを冷静に判断しやすくなります。
新規顧客獲得で「そもそも名前を知られていない」「比較の候補に入れていない」と感じている場合は、地域名×業種で探す人の検索の入口で店名・サービス名に触れてもらい、指名検索や認知の積み上げを図るサジェスト広告という選択肢もあります。 既存の施策と役割分担させながら、検索候補を活用した認知づくりを中長期で検討するという考え方です。
まずは15分、オンラインでご説明します。
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