飲食店集客の基礎知識——新規とリピートの2つの軸
飲食店の集客を考えるとき、最初に押さえておきたいのは、「新規来店」と「リピート(再来店)」を 分けて考えることです。同じ「客数を増やす」でも、初めてのお客様に見つけてもらう取り組みと、 一度来てくれたお客様にまた来てもらう取り組みでは、使う手段も、かかる費用も、 成果が見えるまでの時間も異なります。やみくもに施策を足す前に、自店の課題がどちらの軸にあるのかを 見極めることが、遠回りに見えて近道です。
新規のお客様が来店に至るまでの流れ
初めてのお客様が来店するまでには、おおまかに「知る → 調べる → 比べる → 決める → 来店する」 という流れがあります。店の前を通りかかって知る人もいれば、SNSの投稿で知る人、 「渋谷 居酒屋 個室」のような検索やグルメサイトで探す人もいます。そして知った後には、 スマホで店名を検索して、場所・写真・口コミ・営業時間・予算感を確かめるのが一般的な行動です。
つまり集客には、どこで知ってもらうか(入口)と、 調べられたときに何が表示されるか(受け皿)の2つの側面があります。 SNSで話題になっても、検索したときに営業時間が古かったり場所が分かりにくかったりすれば、 来店の候補から外れてしまうことがあります。お店探しの多くはスマホの検索や地図から始まると言われており、 後述するGoogleビジネスプロフィールの整備が「無料でできる最優先の施策」と紹介されることが多いのは、 この受け皿に当たるためです。
新規獲得とリピート維持——費用のかかり方の違い
マーケティングの分野では、一般に「1:5の法則」と呼ばれる考え方があり、 新規顧客の獲得には既存顧客の維持と比べて多くのコストがかかると言われています。 飲食店に当てはめると、広告や掲載料を使って新しいお客様を集め続けるより、 一度来てくれたお客様に2回目・3回目の来店を促すほうが、費用の面では取り組みやすい——という整理です。
もちろん、開店直後や移転直後など、そもそも認知が足りない時期には新規側の施策が先になります。 大切なのは、「新規で集めて、リピートで経営を安定させる」という全体像を持っておくことです。 この視点があると、後述する集客ツールを選ぶときにも、「これは新規向けか、リピート向けか」という 物差しで判断できるようになります。
自店の現状を数字で眺めてみる
施策を選ぶ前に、いまの客数の内訳をおおよそで構わないので眺めてみてください。
- 新規とリピートの比率 —— 予約台帳・POSデータ・肌感覚の組み合わせで大まかに把握します
- 曜日・時間帯ごとの入り —— 埋まっている枠と空いている枠を分けて見ます
- 客単価と組人数 —— 「客数×客単価」のどちらに伸びしろがあるかを考える材料になります
- 来店のきっかけ —— 「何でお知りになりましたか」と聞ける範囲で集めておくと、入口の見当がつきます
たとえば「平日ランチは埋まるが夜が弱い」なら夜の利用シーンの発信が課題、 「新規は来るが2回目が続かない」ならリピートの仕組みが課題、というように、 数字は打ち手を絞り込むための手がかりになります。
POINT
集客は「入口を増やす(知ってもらう)」と「受け皿を整える(調べられたときに選ばれる)」のセットで 考えるのが基本です。どちらか一方だけでは、かけた手間が成果に結びつきにくくなります。
集客を立て直す手順(7ステップ)
ここからは、飲食店が集客を立て直すときの標準的な進め方を、7つのステップで示します。 上から順に進めることで、「何となく流行っているから」ではなく、 自店の課題に合った施策を選べるようになります。
- 現状を数字で把握する —— 客数・客単価・時間帯別の入り・新規とリピートの比率を、直近1〜3か月分ざっくり書き出します。POSやレジのデータ、予約台帳、スタッフの肌感覚の組み合わせで十分です
- ターゲットと利用シーンを言葉にする —— 「誰が・いつ・何のために使う店か」を1〜2行で言語化します。「近隣で働く人の平日ランチ」「家族の記念日ディナー」「仕事帰りの一人飲み」など、シーンが決まると発信の内容と場所が決まります
- 選ばれる理由を1行で整理する —— 看板メニュー・価格帯・雰囲気・立地など、他店ではなく自店を選ぶ理由を短くまとめます。ここが曖昧なままだと、どのツールを使っても発信がぼやけます
- 検索と地図の受け皿を整える —— Googleビジネスプロフィールの情報を最新にし、写真・メニュー・営業時間をそろえます。グルメサイトの無料掲載分や自社サイトがある場合は、店名・住所・電話番号・営業時間の食い違いをなくします
- 無料〜低予算の施策から着手する —— 次章で紹介する口コミ・SNS・LINE・店前・チラシなどのうち、ステップ2のターゲットに合うものを2〜3個に絞って始めます。全部を同時に始めると、どれも中途半端になりがちです
- リピートの仕組みをつくる —— 来店したお客様が「また来るきっかけ」を持ち帰れるようにします。LINEの友だち登録、ショップカード、次回イベントの予告などが定番です
- 月に1回、数字を見て入れ替える —— 施策ごとに「何を見るか」(口コミ数・友だち数・検索での表示回数など)を決め、月1回のペースで確認します。動きのない施策はいったん止め、手応えのある施策に時間を寄せていきます
この後の章は、ステップ4〜6の中身を順に深掘りしていく構成です。 チェックリスト形式で全体を確認したい方は、集客の見直しチェックリストの記事もあわせてご覧ください。
無料〜低予算で今日から試せる集客アイデア
この章では、費用をほとんどかけずに始められる施策を、【新規向け】【リピート向け】の別を添えて紹介します。 業種を問わない一覧は店舗集客の方法一覧の記事にまとめていますが、 ここでは飲食店に絞って、運用のコツまで踏み込みます。
Googleビジネスプロフィール(MEO対策)——最優先の無料施策【新規向け】
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップに表示される店舗情報を管理できる無料のツールです。 「新宿 ラーメン」「近くの カフェ」のように探す人の目に触れる場所であり、 飲食店の新規集客では受け皿の中心になります。未登録なら、ここが最初の一歩です。
- 基本情報を最新に保つ —— 営業時間・定休日・電話番号・住所。臨時休業もその都度反映します。情報が古いと、せっかく調べてくれた人の足が遠のく原因になります
- 写真を充実させる —— 料理・外観・内観の3種類。特に、看板メニューのおいしさが伝わる写真を中心に追加します
- メニューと価格帯を登録する —— 初めての人の不安は「何がいくらで食べられるか」です。価格の見当がつく状態にします
- 「投稿」機能で発信する —— 季節メニュー・お知らせ・イベントなどを、SNSと同じ感覚で載せられます
こうした地図検索・ローカル検索での露出を高める取り組みは、MEO対策と呼ばれます。 考え方の全体像はMEO対策の解説記事を、 登録の具体的な手順はGoogleビジネスプロフィールの登録・設定手順の記事を 参考にしてください。
口コミの獲得と返信【新規向け】
初めてのお店を選ぶとき、口コミを参考にする人は多いと言われています。 口コミは件数・内容に加えてお店側の返信まで読まれるため、 「集める」と「返す」の両輪で取り組みます。
- 会計時の一言や卓上POPで、感想の投稿を丁寧にお願いする
- 好意的な口コミにもお礼の返信をする(返信率はお店の姿勢として見られます)
- 厳しい口コミにも、事実確認のうえ落ち着いた文面で返信する
注意したいのは、謝礼や割引と引き換えに高評価を依頼したり、お店側が一般客を装って投稿したりする行為です。 2023年10月に始まったいわゆるステマ規制(景品表示法に基づく規制)や、 各サービスのガイドラインに抵触するおそれがあります。 増やし方の基本は口コミの増やし方と返信の基本の記事で、 低評価への対応はネガティブな口コミへの返信の記事で詳しく解説しています。
インスタグラムなどのSNS——シズル感と場所情報【新規向け】
「飲食店 集客 インスタ」という検索が定番になっているように、料理の写真や動画で魅力が伝わる飲食店と Instagramの相性は良いとされています。無料で始められる新規向けの発信手段として、 次のポイントを押さえて運用します。
- プロフィールを受け皿にする —— 「エリア名+業態」「営業時間」「地図・予約への導線」をプロフィールにまとめ、投稿を見た人が迷わず店にたどり着ける状態にします
- 位置情報と地域ハッシュタグを付ける —— 「#渋谷グルメ」「#三軒茶屋ランチ」のような地域タグは、商圏内の見込み客に届けるための基本です
- シズル感のある写真・短い動画を中心にする —— 湯気・断面・注ぐ瞬間など、おいしさが伝わるカットが定番です。リール(短尺動画)はフォロワー外にも表示される機会があるとされています
- 「『店名』で検索」と添える —— 投稿から店名で調べてもらう導線をつくり、指名検索につなげていきます
見落とされがちなのは、フォロワー数と来店は別物という点です。 商圏外のフォロワーが増えても来店には結びつきにくいため、「地域の見込み客に届いているか」 「投稿から場所と予約方法にたどり着けるか」を優先して整えます。 店名で検索してもらう流れは指名検索の解説記事で、 少額から試せるSNS広告はSNS広告の記事で解説しています。
LINE公式アカウント——再来店のきっかけづくり【リピート向け】
LINE公式アカウントは、友だち登録してくれたお客様にメッセージやクーポンを配信できるツールで、 無料で始められるプランが用意されています。飲食店では「来店時に登録してもらい、 後日、新メニューやお知らせを届けて再来店のきっかけをつくる」使い方が定番です。
- 会計時の声かけ・卓上POP・レジ横の掲示で友だち登録を案内する(その場で使える特典を添える例が多く見られます)
- 配信は週1回程度など頻度を決め、送りすぎによるブロックを避ける
- 雨の日限定・アイドルタイム限定など、来てほしい時間帯に合わせた内容を試す
- 新メニュー・季節メニューの予告で「次に行く理由」をつくる
料金プランや配信通数の条件は改定されることがあるため、始める前に公式サイトで最新情報を確認してください。 基本の考え方と設定はLINE公式アカウントの基礎記事で解説しています。
看板・店前・ファサード——最も近くにいる見込み客へ【新規向け】
ウェブ施策に目が行きがちですが、店の前を通る人には「今この近くで食べる場所を探している人」が含まれます。 来店にいちばん近い層に無料で使える広告面が店前です。次の点を、お客様の目線で見直してみてください。
- 3秒で伝わるか —— 何の店か(業態)・看板メニュー・価格帯が、歩く速度で読み取れるか
- メニュー表が外から読めるか —— 品書きと価格が見えるだけで、入店の心理的なハードルは下がると言われます
- 営業中と分かるか —— のれん・営業中プレート・A看板・店内の明かりで「開いている」ことを伝える
- 夜に気づいてもらえるか —— 照明や電飾看板で、暗くなってからの視認性を確かめる
「入りにくさ」は、中の様子が見えない・価格が分からない・営業しているか分からない、 という3つの不安から生まれるとよく言われます。1つ解消するだけでも、店前の受け皿は変わります。
チラシ・ポスティング——商圏を絞った紙の接点【新規向け】
デジタル全盛でも、徒歩圏・生活圏のお客様に直接届けられる紙の施策には役割があります。 ランチ営業の案内、開店・リニューアルの告知、宴会シーズン前の案内など、 時期と商圏を絞って使うのが基本です。
- 配布エリアは店から徒歩10分圏など、実際に通える範囲に絞る
- 地図・営業時間・看板メニューと価格を大きく載せる
- QRコードでGoogleビジネスプロフィールやLINEの友だち登録へ誘導する
- 「このチラシをご持参で〜」の特典を付けると、反応数を数えられる
部数・デザイン・配布方法の考え方は、チラシ・ポスティングの解説記事で 詳しく紹介しています。
ご近所との連携——商圏の中で名前を広げる【新規向け】
広告費をかけない新規接点として、商圏の中での連携も見直す価値があります。 飲食店の商圏は徒歩圏・生活圏が中心になりやすいため、「ご近所に知られること」が そのまま集客の土台になります。
- 商店街や地域のイベント・マルシェに出店し、店名と看板メニューを覚えてもらう
- 近隣のオフィスや店舗に、ランチ営業やお弁当の案内を届ける
- 地域の情報アカウントやフリーペーパーに掲載を相談する(掲載条件は媒体によりまちまちです)
- 近隣店と相互にショップカードを置き合うなど、小さな相互紹介から始める
こうした地道な接点で名前に触れた人が、後からスマホで店名を検索してくれる—— 地域での連携は、指名検索の下地づくりでもあります。
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グルメサイトとの付き合い方
飲食店の集客を考えるうえで避けて通れないのが、食べログ・ぐるなび・ホットペッパーグルメ・Rettyといった グルメサイト(飲食店情報サイト)との付き合い方です。この章では、特定のサービスの優劣ではなく、 掲載型サービスに共通する仕組みと、費用面で注意したい点を、一般的な情報として整理します。
グルメサイトの役割と一般的な仕組み
グルメサイトは、「エリア×業態」で店を探す人や、宴会・記念日などで複数の店を比較検討している人との 接点になる媒体です。多くのサービスでは、無料で作成できる基本の店舗ページと、 写真の掲載枠や検索結果での見え方などが広がる有料プランが用意されています。 また、サイト経由のネット予約に対して送客手数料が設定されている場合があり、 金額や計算方法(1人あたり・1件あたりなど)はサービスや契約内容によって異なります。
ネット予約や空席管理の機能を備えたサービスも多く、電話対応の負担を減らせる点や、 比較検討中のユーザーにコース内容や写真を届けられる点は、掲載型ならではの強みです。 「グルメサイトか自社集客か」の二者択一ではなく、それぞれの構造を知ったうえで 役割を割り振るのが現実的な付き合い方です。
手数料・掲載料に依存しすぎるリスク
一方で、費用構造は正確に把握しておく必要があります。月額の掲載料に加えて予約ごとの手数料がかかる契約では、 席が埋まっているのに利益が思ったほど残らない、という状況が起こることがあります。 また、検索結果やランキングでの見え方は各サイトの仕組みに委ねられるため、 集客の入口を1つのサイトに頼り切ると、プラン変更や仕様変更の影響を受けやすくなります。
もう1つ見落とされがちなのは、お客様との接点がサイトの中にとどまりやすい点です。 予約も口コミもサイト内で完結すると、自店からお客様に次の来店をご案内する手段(連絡先など)が 手元に残りにくくなります。新規との出会いを掲載型に任せる場合でも、 来店後のつながりは自店で持てるように設計しておきたいところです。
バランスの取り方——比較検討層と指名層で入口を分ける
現実的なのは、「やめる・続ける」の二択ではなく、役割を分ける考え方です。 エリアや宴会需要で比較検討している新規のお客様との接点はグルメサイトに任せつつ、 一度来てくれたお客様とはLINEや店頭で直接つながり、2回目以降は手数料のかからない窓口 (電話・店頭・自社の予約手段)をご案内していく。 掲載型集客と自社集客のバランスの考え方は、クーポンサイト・ポータル掲載との付き合い方の記事でも 詳しく解説しています。
そのうえで、月に1回、サイト経由の来店・予約数と支払額を並べて、費用に見合っているかを確かめる習慣を 持つと、プラン見直しの判断がしやすくなります。感覚ではなく数字で判断することが、 掲載費との健全な付き合い方の第一歩です。
CHECK
グルメサイトは「使わない」ではなく「依存しない」が現実的な落としどころです。 比較検討層との接点として活用しつつ、店名で探して直接来てくれるお客様——指名検索の層——を 並行して育てることが、手数料に左右されにくい集客構造への近道です。
飲食店の集客ツールの選び方
「飲食店 集客ツール」と検索すると多くのサービスが見つかり、どれを入れればよいのか迷いがちです。 まず、ツールを役割で4つに分けて整理すると、比較の軸がはっきりします。
- 知ってもらう(認知) —— SNS・チラシ・看板・サジェスト広告など
- 選んでもらう(受け皿) —— Googleビジネスプロフィール・グルメサイト・自社サイト
- また来てもらう(再来店) —— LINE公式アカウント・ショップカード・店舗アプリ
- 測る(分析) —— POSレジ・Google Search Console・GA4など
主なツールの役割と費用のかかり方を一覧にすると、次のようになります。
| ツール | 主な役割 | 費用のかかり方 | 相性のよい状況 |
|---|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | 検索・地図での店舗情報表示、口コミの受け皿 | 無料(運用の手間はかかる) | 「駅名×業態」や地図経由で探されることが多い店 |
| SNS(Instagramなど) | 写真・動画での認知づくり、フォロワーとの継続接点 | 無料から(広告出稿は有料) | 見た目が伝わりやすいメニューがある店 |
| LINE公式アカウント | 再来店のきっかけづくり(お知らせ・クーポン配信) | 無料プランあり・配信量に応じた有料プラン | リピート主体の店・常連の多い店 |
| グルメサイト | 比較検討中のユーザーとの接点、ネット予約管理 | 無料掲載〜有料プラン・送客手数料はサービスによる | 宴会・コース利用など予約中心の業態 |
| 自社サイト・自社予約 | 指名検索の受け皿、手数料に依存しない予約窓口 | 制作費・月額利用料はサービスによる | 指名検索が増えてきた店 |
| チラシ・ポスティング | 商圏内の住民への直接の告知 | 印刷費・配布費(部数による) | 開店直後・商圏が徒歩圏中心の店 |
| サジェスト広告 | 検索候補を活用した店名の認知向上 | 月額制(Adnymousは月額2万円から) | 指名検索・認知を積み上げたい店 |
※表は各ツールの一般的な役割と費用のかかり方を整理したものであり、優劣を示すものではありません。費用・プラン・機能はサービスや契約内容により異なります。サジェスト広告は検索候補への表示を保証するものではありません。費用は実施条件によって変わります。
選ぶときのチェックポイント(6項目)
新しいツールを検討するときは、次の6点を確認すると失敗しにくくなります。
- 目的と一致しているか —— 新規の認知が課題なのに再来店ツールを入れても、課題は解決しません。前章までの「新規かリピートか」の整理と突き合わせます
- 費用のかかり方はどれか —— 無料・月額固定・予約ごとの従量のどれか。従量型は、繁忙期に支払額がいくらになるかを試算してから判断します
- 解約条件はどうなっているか —— 最低契約期間・自動更新の有無・解約時の費用を、契約前に書面で確認します
- 顧客情報が手元に残るか —— 連絡先や来店履歴が自社に蓄積される仕組みか、サービス側にとどまるのかは、長期的な集客力を左右します
- 運用を続けられるか —— 日々の営業の中で「誰が・いつ・何を更新するか」まで決められるか。運用者が決まらないツールは止まりがちです
- 数字で確かめられるか —— 表示回数・登録数・経由来店数など、見直しの判断材料が取れるかを確認します
業態別・優先順位の考え方
ランチ主体の店なら、「今から行ける店」を探す検索・地図経由の来店に応える Googleビジネスプロフィールの整備が先になります。ディナーや宴会が主体なら、 比較検討に対応できるコース情報・写真の充実と、常連化のためのLINEが候補に上がります。 テイクアウトやデリバリーが多い店なら、注文導線の分かりやすさと、SNSでの新メニュー発信が要になります。 いずれの場合も「全部やる」のではなく、自店の主力の利用シーンから逆算して2〜3個に絞るのが現実的です。
認知を積み上げるという選択肢——サジェスト広告
受け皿の整備やSNSでの発信が一巡した後、次の一手として検討されるのが、 「店名を覚えてもらい、店名で探してもらう」認知の積み上げです。 サジェスト広告は、GoogleやYahoo!などの検索窓に表示される検索候補(サジェスト)を活用して、 店舗名の認知向上を図る施策です。「駅名×業態」で探す人の検索の入口で店名との接点をつくる、 という考え方で、月額制で取り組めます(Adnymousの場合は月額2万円から。費用は実施条件によって変わります)。 仕組みや注意点はサジェスト広告の解説記事と サービス紹介で詳しく説明しています。
リピート集客の仕組みづくり
新規のお客様を集め続けるだけの集客は、費用も手間もかかり続けます。 経営を安定させる鍵は、一度来てくれたお客様の2回目・3回目です。 一般に、初回来店からの間隔が空くほどお店の記憶は薄れていくと言われており、 「初回の満足」と「思い出すきっかけ」の2つをどう用意するかがテーマになります。
「また来る理由」を持ち帰ってもらう
- LINEの友だち登録 —— 新メニューやクーポンの受け取り窓口として、会計までの間に案内します
- ショップカード・スタンプカード —— 財布の中で店名を思い出してもらう昔ながらの仕組みです
- 次回の予告 —— 「来月から牡蠣が始まります」「金曜は限定メニューの日」など、次に行く理由を言葉で渡します
- 記念日利用の聞き取り —— 誕生日・記念日の利用が多い店なら、翌年に向けたご案内の同意をいただく方法もあります
どれも仕組みは単純ですが、分かれ目は「会計までの間に案内する」という運用をスタッフ全員で続けられるかどうかです。 声かけの一言をレジ横に貼っておくなど、続けられる形に落とし込みます。
顧客リストはお店の資産
グルメサイト経由の予約だけでは、お客様に自店からご案内する手段が残りにくくなります。 LINEの友だち、予約台帳の連絡先といった「自店からご案内できる相手のリスト」は、 広告費をかけずに再来店を促せる、お店の資産です。 リピート率の考え方と計測のしかたは、リピート率の解説記事で詳しく紹介しています。
常連化の先にある指名検索
来店を重ねたお客様は、店名で検索して営業時間を確かめたり、友人に店名で紹介したりするようになります。 店名での検索——指名検索——が増えていくことは、ご案内をしなくても来てくれるお客様が 育っているサインの1つです。リピートの仕組みづくりは、目の前の再来店だけでなく、 「店名で選ばれる店」への土台づくりでもあります。
よくある誤解と実際
飲食店の集客には、もっともらしく語られがちな「誤解」がいくつかあります。 検討の前に解いておきたい代表的なものを、「誤解 → 実際」の形で5つ整理します。
誤解1:「SNSでバズれば客足は解決する」
実際:拡散の多くは商圏の外にも広がるため、話題になることと、近隣のお客様が増えることは 別の問題です。飲食店の集客では、拡散の量よりも「地域の見込み客に届き、場所・営業時間・予約方法まで 伝わること」が大切です。バズは追うものではなく、届けたい人に届く発信を続けた結果として 起こることがある、くらいに捉えるのが現実的です。
誤解2:「グルメサイトに掲載すれば席が埋まる」
実際:掲載は、比較検討の土俵に乗るための入口の1つです。そこから選ばれるかどうかは、 写真・メニュー・口コミ・価格帯といった受け皿の中身に左右されます。 掲載自体が来店を約束するものではないため、掲載費は「何件の来店・予約になっているか」と セットで定期的に確かめることが大切です。
誤解3:「値引きすれば客数は増える」
実際:値引きは短期的な来店のきっかけになることがある一方、値引き目当ての利用に偏ると 利益が残りにくくなり、通常価格に戻したときに客足が続かないことがあります。 価格を下げる前に、看板メニューの見せ方や利用シーンの提案など、 価値の伝え方を見直す余地がないかを確かめる考え方が一般的です。
誤解4:「口コミは自分で書けばいい」
実際:事業者が一般客を装って口コミを投稿する行為や、報酬と引き換えの高評価依頼は、 ステマ規制(景品表示法)や各サービスの規約に抵触するおそれがあります。 発覚した場合に失う信頼を考えると、割に合いません。実際に来てくれたお客様への丁寧なお願いと返信で、 少しずつ積み上げるのが結局の近道です。
誤解5:「ツールを導入すれば集客は自動で回る」
実際:どのツールも、基本情報の整備と日々の運用があってはじめて機能する道具です。 導入しただけで成果が出るものではなく、「誰が・いつ・何を更新するか」という運用の設計が先に必要です。 ツールを増やす前に、いま持っているツールが運用されているかを確かめるほうが、 成果に近づくことも少なくありません。
用語ミニ解説
本文に登場した用語や、飲食店の集客を調べる際によく出てくる用語を、初めての方向けに短く整理します。
- Googleビジネスプロフィール —— Google検索やGoogleマップに表示される店舗情報を管理できる無料ツール。飲食店の検索・地図対策の基盤です
- MEO対策 —— Googleマップなどの地図検索・ローカル検索での露出を高める取り組み。Googleビジネスプロフィールの整備が軸になります
- 口コミ —— 利用者による評価・感想の投稿。件数や内容に加えて、お店側の返信も含めて読まれます
- ステマ規制 —— 広告であることを隠した宣伝(ステルスマーケティング)を景品表示法で規制する制度。2023年10月に始まり、事業者が客を装った口コミ投稿などが対象とされています
- 指名検索 —— 店名・会社名など固有の名前を直接入力して行われる検索。名前を知っている人による検索です
- 一般検索 —— 「渋谷 居酒屋」のように、名前を特定せずエリアや条件で行われる検索。指名検索と対になる概念です
- 検索候補(サジェスト) —— 検索窓に文字を入力すると表示される関連キーワードの候補。検索エンジンが自動で生成します
- LINE公式アカウント —— 店舗・企業向けのLINEアカウント。友だち登録者へのメッセージやクーポンの配信に使われます
- 送客手数料 —— グルメサイトなどのネット予約経由の成果に対して支払う手数料。金額や計算方法はサービスや契約内容により異なります
- リピート率 —— 一定期間内に再来店したお客様の割合。定義や計測方法は店舗により異なります
- 客単価 —— お客様1人あたりの平均支払額。売上は「客数×客単価」に分解して考えるのが基本です
- FL比率 —— 売上に対する食材費(Food)と人件費(Labor)の合計の割合。飲食店の代表的な経営指標の1つで、一般に6割前後が目安と言われますが、業態により異なります
よくある質問
飲食店の集客は、まず何から始めればよいですか?
お金をかけずにできる飲食店の集客方法はありますか?
インスタのフォロワーが増えているのに来店が増えないのはなぜですか?
グルメサイトの有料プランは続けるべきでしょうか?
口コミはお客様にお願いしてもよいのでしょうか?
LINE公式アカウントは小さな飲食店でも活用できますか?
集客ツールはどのような基準で選べばよいですか?
新規のお客様とリピーターは、どちらを優先すべきですか?
サジェスト広告は飲食店でも実施できますか?
まとめ
飲食店の集客は、「新規来店」と「リピート」の2軸で考えることから始まります。 新規向けには、Googleビジネスプロフィール・口コミ・インスタ・店前・チラシといった 無料〜低予算の施策で入口と受け皿を整える。リピート向けには、LINEやショップカードで 「また来るきっかけ」を仕組みにする。グルメサイトは依存ではなく併用と位置づけ、 費用対効果を数字で確かめながら付き合う——これがこの記事の骨子です。
集客ツールはあくまで道具であり、「誰に・どの利用シーンで・何を伝えるか」が定まってはじめて役に立ちます。 まずは現状の数字を眺め、7ステップの手順に沿って、自店に合う施策を2〜3個から始めてみてください。 月に1回の見直しを続ければ、自店なりの「効く組み合わせ」が少しずつ見えてきます。
そして、施策を続けた先にあるのは、エリア名での比較の中で見つけてもらうだけでなく、 「店名で探してもらえる店」になることです。サジェスト広告は、GoogleやYahoo!などの検索候補を活用して 店名の認知向上を図り、指名検索の積み上げを目指すという考え方の施策です。 日々の店づくりや口コミ・SNSの取り組みと並行して検討できる、選択肢のひとつです。
まずは15分、オンラインでご説明します。
仕組みと試算の考え方を、貴店・貴社の数値に合わせてご説明します。 ご検討中の検索語があれば、実施の可否や条件もその場でお答えします。
15分の相談を申し込む※月額2万円から。費用は実施条件によって変わります。


