指名検索を「数字で追う」と何が変わるか
指名検索とは、店名・会社名・サービス名など、固有の名前を直接入力して行われる検索のことです。 「渋谷 ネイルサロン」のようにカテゴリや条件で探す一般検索と違い、指名検索はすでに名前を知っている人・ 名前を思い出した人による検索であり、お店やサービスの認知の広がりを映す指標のひとつとされています。 指名検索の基本的な考え方や、そもそもなぜ重要なのか、どう増やすのかは、 別記事「指名検索とは?調べ方と増やし方」で詳しく解説しています。 本記事はその実践編として、「数字でどう追いかけるか」に絞って手順を掘り下げます。
なぜ、体感ではなく数字で追うのでしょうか。「最近、店名で来ましたというお客様が増えた気がする」という 感覚はもちろん大切ですが、感覚だけに頼ると、施策の判断を誤りやすくなります。 数字で追う理由は、大きく3つあります。
- 施策の前後を比べられる —— チラシ配布やSNS強化、サジェスト広告などの施策を始める前の基準値(ベースライン)が残っていれば、開始後の変化を冷静に見比べられます。基準値がないまま始めると、「増えたのか減ったのか」自体が分からなくなります
- 変化に早く気づける —— 月次の記録があると、「じわじわ増えている」「先月から急に減った」といった変化を、感覚ではなくデータで捉えられます。話題化や環境変化のサインを拾うきっかけにもなります
- 意思決定の材料になる —— 広告費の配分や施策の継続・見直しを、印象論ではなく数字を根拠に議論しやすくなります。スタッフや共同経営者との認識合わせにも役立ちます
一方で、正直にお伝えしておきたいのは、指名検索の回数そのものを正確に数えられる公開ツールはない ということです。この記事で紹介する方法で分かるのは、あくまで「把握できる範囲の目安」です。 それでも、同じ条件で測り続けた数字は、推移を見るうえで十分に役立ちます。 大切なのは絶対値の正確さよりも、同じものさしで測り続けること。 この前提を押さえたうえで、具体的な手順に進みましょう。
POINT
この記事で使うツールは、Google Search ConsoleとGA4の2つだけ。どちらもGoogleが無料で提供しており、 費用はかかりません。有料ツールを契約しなくても、指名検索の月次計測は無料ツールだけで完結できます。
Search ConsoleとGA4の役割分担
手順に入る前に、2つのツールの役割の違いを整理しておきます。 どちらも「アクセス解析のツール」とひとくくりにされがちですが、見ている段階が異なります。 ざっくり言うと、Search Consoleは「検索結果に表示されてからクリックされるまで」、 GA4は「サイトに到着してからの行動」を見るツールです。
| 比較項目 | Search Console | GA4 |
|---|---|---|
| 見る段階 | 検索結果に表示〜クリックまで | サイト到着後〜予約・問い合わせまで |
| 主な指標 | 表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位 | セッション・参照元/メディア・キーイベント |
| 指名検索の見方 | 店名を含むクエリで絞り込む | オーガニック検索×トップページ着地を目安にする |
| 費用 | 無料 | 無料 |
※各ツールの機能・画面構成は執筆時点の一般的な情報に基づきます。仕様や名称は変更されることがあります。
つまり、「店名でどれくらい検索・クリックされたか」を測る主役はSearch Consoleで、 「サイトに来た人がその後どう動いたか」を見るのがGA4です。 注意したいのは、GA4単体では、どの検索キーワードで流入したかまでは分からないという点です。 キーワード(クエリ)単位の把握はSearch Consoleの役割なので、 指名検索の計測では2つをセットで使うことに意味があります。
セットで見ると、課題のあたりも付けやすくなります。たとえば「表示回数は増えているのにクリックが増えない」なら 検索結果での見え方(タイトルや説明文、上位に並ぶ他サイト)に目を向けるきっかけになりますし、 「クリックは増えたのに問い合わせが増えない」なら、GA4側で見えるサイト内の内容や導線を見直すきっかけになります。 どの段階で数字が細っているかが分かるだけでも、次の一手の検討はぐっと具体的になります。
Search Console登録の流れ(概要)
Search Consoleを使うには、最初に自社サイトを登録する作業が一度だけ要ります。 本記事の主役はあくまで「登録した後の見方」なので、ここでは全体の流れを概要として紹介します (画面ごとの詳しい操作は、Googleの公式ヘルプで案内されています)。
- Googleアカウントを用意する —— すでにGoogleビジネスプロフィールやGmailで使っているアカウントがあれば、それを使って構いません
- Search Consoleにアクセスし、「プロパティを追加」から自社サイトのURLを登録する —— プロパティとは計測対象のサイトのことです。URLプレフィックス型を選ぶ方法が一般的です
- 所有権の確認を行う —— 自分がそのサイトの管理者であることを確認する手続きです。HTMLタグをサイトに貼る方法、HTMLファイルをアップロードする方法などから選べます
- データが蓄積されるのを待つ —— 登録直後はデータがなく、反映まで数日かかることがあります
押さえておきたいのは、登録した時点より前のデータはさかのぼれないことです。 施策を始めてから慌てて登録するのではなく、計測したくなる前に登録を済ませておくことをおすすめします。 ホームページ制作を業者に依頼した場合は、制作会社がすでに設定していることもあるため、まず確認してみてください。 登録済みかどうかは、Search Consoleにログインしてプロパティの一覧を見れば分かります。
GA4も同様に、サイト開設時に設定されていることが多いツールです。どちらも入っていなければ、 この機会にまとめて設定しておくと、以降の計測がスムーズになります。 なお、Search Console・GA4に加えてGoogleトレンドや検索候補(サジェスト)の確認まで含めた 「指名検索数の調べ方」の全体像は、基礎編の記事で整理しています。 本記事では、その中でも定点観測の軸になるSearch ConsoleとGA4に絞って、操作レベルまで掘り下げていきます。
クエリレポートで店名検索を見る手順
ここからが本題です。Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポート(いわゆるクエリレポート)で、 店名・社名を含む検索を絞り込んで見る手順を、順を追って説明します。 サーチコンソールで言うクエリとは、ユーザーが実際に検索窓へ入力した検索キーワードのことです。 このレポートを見ると、「どんな言葉で検索されて、自社サイトが何回表示され、何回クリックされたか」が分かります。
基本の手順(6ステップ)
- Search Consoleにログインし、対象サイトのプロパティを選択する
- 左メニューの「検索パフォーマンス(検索結果)」を開く
- 画面上部の期間フィルタを、確認したい範囲(まずは「過去3か月間」など)に設定する
- 「+新規」→「検索キーワード」を選び、「含むキーワード」に店名・社名を入力して絞り込む(まずは一番よく使われる表記で)
- 「クエリ」タブで、店名を含む検索キーワードの一覧と、それぞれの表示回数・クリック数を確認する
- 主要な数字(店名クエリ全体の表示回数・クリック数・CTR)を、後述の月次記録表に転記する
初めて開いたときは、まず絞り込みなしでクエリ一覧を表示回数順にひと通り眺めてみることをおすすめします。 「店名+メニュー名」「店名+地名」「店名+営業時間」など、思ってもみなかった組み合わせで 検索されていることに気づけますし、次に説明する表記ゆれの発見にもつながります。
表記ゆれの拾い方——指名検索の数え漏れを防ぐ
店名は、正式表記だけで検索されるとは限りません。ひらがな・カタカナ・ローマ字・スペースの有無・略称—— 実際のクエリ一覧を眺めると、想像以上に多様な表記が見つかります。 正式表記だけで絞り込むと指名検索を実際より少なく数えてしまうため、表記ゆれを拾うことが実務上のポイントになります。 代表的なパターンは次のとおりです(店名はいずれも架空の例です)。
- ひらがな・カタカナ・漢字の揺れ —— 「たなか整体院」「タナカ整体院」「田中整体院」
- ローマ字・英語表記 —— 「tanaka seitai」「TANAKA」
- スペースの有無・位置 —— 「たなか整体院」「たなか 整体院」
- 略称・通称 —— 「たなか整体」「たなかさん」など、お客様が日常で使う呼び名
- 打ち間違い・変換ミス —— 濁点の抜けや似た漢字への誤変換
これらをまとめて拾うには、検索キーワードのフィルタで「カスタム(正規表現)」を選び、 「たなか整体院|タナカ整体院|tanaka」のように、表記の候補を縦棒(|)でつなぎます。 縦棒は「または」の意味で、どれかに当てはまるクエリをまとめて1つの条件で絞り込めます。 正規表現と聞くと難しそうですが、指名検索の絞り込みで使うのは実質この縦棒だけです。 不慣れな場合は、「含むキーワード」のフィルタを表記ごとに切り替えて個別に確認し、 数字を合算する方法でも構いません。
進め方のコツは、最初から完璧な条件を作ろうとしないことです。 まずは主要な2〜3表記で始め、クエリ一覧を定期的に眺めて新しい表記を見つけたら条件に追加していく。 追加した月を記録表にメモしておけば、条件変更による数字の段差も後から説明できます。
3つの指標の読み方
クエリレポートで確認する基本の指標は3つです。それぞれの意味を押さえておきましょう。
- 表示回数(インプレッション) —— 店名などで検索され、検索結果に自社サイトが表示された回数。「店名で検索された規模感」の目安になります
- クリック数 —— 検索結果から実際に自社サイトへ来訪した回数。「検索した人がサイトまで来た数」の目安です
- CTR(クリック率) —— クリック数÷表示回数。店名で検索した人がきちんと自社サイトにたどり着けているかを見る手がかりになります
あわせて表示される平均掲載順位も参考になります。店名クエリでは自社サイトが上位に表示される ことが多いのですが、順位が想定より低い場合は、同名・類似名の他店やポータルサイトのページが 自社サイトより上に並んでいる可能性があります。実際にその店名で検索して、検索結果の並びを 目で確認してみるきっかけにしてください。
期間比較のやり方
期間フィルタの「比較」タブを使うと、「直近3か月と その前の3か月」「前年の同じ期間」といった 2つの期間を並べて確認できます。月ごとの推移は後述の記録表で追うとして、 季節性のある業種(イベントシーズンや繁忙期があるサロン・ジムなど)では、 前年同月との比較が状況をつかむ参考になります。
月次で記録する際の期間は、「カスタム」でその月の1日から末日までを指定すると、 毎月同じ長さの区切りで比べられます。「過去28日間」のような相対指定は、確認する日によって 対象期間がずれてしまうため、記録用途にはカスタム指定のほうが向いています。 また、レポート右上のエクスポート機能を使うと、クエリ一覧をスプレッドシートやCSV形式で 書き出せます。表記ゆれの棚卸しをするときや、月次記録の元データを手元に残しておきたいときに便利です。
※Search Consoleのクエリレポートには、プライバシー保護などの理由で一部の検索キーワードが表示されない場合が あると公式ヘルプで案内されています。また、直近のデータは確定まで数日かかることがあります。 表示される数字は「把握できる範囲の目安」として捉えましょう。
GA4で参照元・ランディングページを見る手順
続いてGA4です。GA4(Googleアナリティクス4)は、サイトに来た後の行動を分析する無料のアクセス解析ツールです。 機能が多く、初心者の方はどこを見ればよいか迷いやすいのですが、指名検索の月次チェックという目的に絞れば、 見る場所は実質2つです。「どこから来たか(参照元)」と「どのページに最初に着地したか(ランディングページ)」。 この2つの見方を、クリックする場所のレベルで説明します。
見方1:参照元/メディアで検索経由の流入を見る
- GA4にログインし、対象のプロパティを開く
- 左メニューの「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」を開く
- 画面右上の期間を、確認したい月に設定する
- 表の「セッションのデフォルト チャネル グループ」の内訳で、「Organic Search」(検索エンジンの自然検索)のセッション数を確認する
- より細かく見たい場合は、表のディメンション(項目名)を「セッションの参照元/メディア」に切り替え、「google / organic」「yahoo / organic」などの行ごとのセッション数を確認する
ここで分かるのは「検索エンジン経由でサイトに来たセッション(訪問)の数」です。 この時点では指名検索と一般検索の区別はできませんが、検索経由の流入全体の水準と推移を つかんでおくことが、次の見方の土台になります。
見方2:ランディングページ×参照元で「指名らしい流入」を見る
- 「レポート」→「エンゲージメント」→「ランディングページ」を開く
- 表のヘッダーにある「+」をクリックし、セカンダリディメンション(2つ目の切り口)として「セッションの参照元/メディア」を追加する
- ランディングページが「/」(トップページ)で、参照元/メディアが「google / organic」などの行のセッション数を確認する
- その数字を、月次の記録表に転記する
店名で検索した人は、公式サイトのトップページに着地することが多い——この傾向を利用して、 「オーガニック検索経由×トップページ着地」のセッション数を、指名検索経由の流入のおおよその目安 として使う考え方があります。一般キーワードでトップページに来るケースも混ざるため、 あくまで参考値ですが、Search Consoleのクリック数と並べて見ると、推移の裏付けとして役立ちます。 なお、GA4でも期間は右上の日付セレクタで「先月」やカスタムの月初〜月末を指定できます。 Search Console側の集計期間と月の区切りをそろえておくと、2つのツールの数字を並べたときに比較しやすくなります。
Search Consoleと連携してクエリをGA4で見る
さらに、GA4とSearch Consoleを連携させると、GA4の画面上でクエリ別のデータを確認できるようになります。 毎月見る画面を1つにまとめたい方は、次の設定をしておくと便利です。
- GA4の「管理」を開き、「サービス間のリンク」からSearch Consoleとのリンクを作成する
- 「レポート」の「ライブラリ」で、Search Console関連のレポート(コレクション)を公開状態にする
- 「レポート」に追加されたクエリのレポートで、検索キーワード別の表示回数・クリック数を確認する
連携して見られるデータの中身はSearch Console本体と同じですが、流入後の行動データと同じ画面群で 確認できるようになるため、月次チェックの動線がまとまります。連携にはSearch Console側の権限が 要るので、設定は両ツールにアクセスできるアカウントで行ってください。
キーイベント(問い合わせ・予約)まで見る
GA4の強みは、流入した人がその後に予約・問い合わせといった行動まで進んだかを追える点です。 GA4ではこうした重要な行動をキーイベント(以前は「コンバージョン」と呼ばれていました)として 設定できます。問い合わせ完了ページの表示やフォーム送信をキーイベントにしておくと、 「指名検索経由の流入が、行動につながっているか」まで含めて月次で確認できるようになります。 設定手順の詳細は本記事では割愛しますが、月次テンプレートには記録欄を用意しています。 電話予約や店頭での「検索して来ました」など、ツールの外で起きる行動は、分かる範囲のメモで補いましょう。
※GA4・Search Consoleの画面構成やメニュー名は更新されることがあります。 本文の名称で見当たらない場合は、各ツール内の検索機能や公式ヘルプで現在の場所を確認してください。
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月次で記録するテンプレート
計測を続けるコツは、見る数字を欲張らないことです。毎月同じ項目だけを、同じ条件で記録する—— これだけで、数か月後には施策を判断する材料になる推移データが手に入ります。 以下に、そのまま使える月次記録のテンプレートを用意しました。 スプレッドシートでも紙のノートでも、続けやすい形式に書き写して使ってください。
| 記録項目 | 確認場所 | 記録のポイント |
|---|---|---|
| 店名クエリの表示回数 | Search Console(検索パフォーマンス) | 表記ゆれを含めた条件で絞り込み、月間の合計を記録 |
| 店名クエリのクリック数 | Search Console(同上) | 表示回数とセットで記録 |
| 店名クエリのCTR | Search Console(同上) | クリック数÷表示回数。極端な変化がないかを見る |
| オーガニック×トップページのセッション数 | GA4(ランディングページ) | 指名検索経由の流入の参考値として記録 |
| 問い合わせ・予約の件数 | GA4(キーイベント)や予約台帳 | 電話予約など、ツール外の件数も分かる範囲でメモ |
| 実施した施策メモ | — | チラシ配布・SNS企画・広告開始など、その月にやったことを一言で |
| 気づきメモ | — | 急な増減・話題化・季節要因・条件変更など、気づいたことを自由に |
※項目は一例です。業態や運用体制に合わせて追加・削減してください。
記入例(架空の例)
イメージをつかんでいただくために、架空の整体院での記入例を示します。 施策メモを数字と同じ表に書いておくことが、後から推移を読み解くときに効いてきます。
| 月 | 表示回数 | クリック数 | CTR | 施策メモ |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 320 | 140 | 43.8% | 特になし(基準値として記録開始) |
| 5月 | 350 | 152 | 43.4% | 店頭ポスターに「たなか整体院で検索」の一言を追加 |
| 6月 | 410 | 176 | 42.9% | SNSでキャンペーン投稿を実施 |
※数値・店名はすべて架空の記入例です。実際の数値は事業の規模や状況によって大きく異なります。
記録を続けるための4つのルール
- タイミングを固定する —— 「毎月1日に前月分を記録する」のように決めておくと習慣になります。月末月初が忙しい業態なら「毎月10日に前月分」でも構いません
- 条件を固定する —— フィルタの正規表現や集計期間を途中で変えると、過去と比べられなくなります。使っている条件は記録表の欄外にメモし、変更したときはその月の気づきメモに書き残します
- 形式は続けられるものでよい —— スプレッドシートでも紙でも、続くことが一番大切です。凝ったダッシュボードを作るのは、記録が習慣になってからで十分です
- 表記ゆれの追加は追記方式で —— 新しい表記を見つけたら条件に追加し、追加した月をメモしておきます。こうすると、条件変更による数字の段差と実際の変化を区別できます
数字が動いたときの読み方
記録を続けていると、数字が大きく動く月が出てきます。ここで大切なのは、増えても減っても、 原因を1つに決めつけないことです。指名検索の数字は複数の要因が重なって動くため、 「この施策のおかげ」「この失敗のせい」と単純に紐付けると、かえって判断を誤ることがあります。
数字が増えたとき——「時期の一致」と「因果」を分けて考える
まず、記録表の施策メモと照らし合わせて、「時期が重なっている施策はどれか」を確認します。 ただし、時期が重なっていることと、その施策が原因であることは別の話です。 増加の背景として考えられる要因には、たとえば次のようなものがあります。
- 実施した施策(チラシ・SNS・広告・メディア掲載など)の影響
- テレビ・雑誌・SNSでの紹介や口コミによる話題化
- 季節要因(繁忙期・イベントシーズン・長期休暇など)
- 周辺環境の変化(近隣の競合の状況、商業施設のオープンなど)
- 検索エンジン側の仕様変更や、集計方法の変化
複数の施策を同時に始めた場合は、なおさら切り分けが難しくなります。 現実的な姿勢は、「◯月に始めた施策と時期が重なって増えた」という事実の記録にとどめ、 断定は避けたうえで、施策を続けながら翌月以降の推移を見ることです。 数か月にわたって施策の実施と数字の傾向が対応しているようなら、その施策が寄与している可能性は 少しずつ確からしくなっていきます。検索候補(サジェスト)がどんな要因で変わるのかは、 検索候補の仕組みの記事も参考になります。
数字が減ったとき——慌てる前の確認手順
下がったときも、いきなり「施策が失敗した」と結論づける前に、次の順で確認します。 経験上、最初の2つ(条件と仕様)で説明がつくケースが少なくありません。
- フィルタ条件・期間設定を確認する —— 前回の記録と同じ条件で見ているか。正規表現の変更やフィルタの外し忘れによる「見かけの減少」がよくあります
- データ反映やお知らせを確認する —— Search Consoleは直近データの確定に数日かかることがあります。集計仕様の変更が案内されていないかも確認します
- 季節要因・前年同月と比べる —— 連休明けや閑散期の落ち込みは、前年同月の水準と比べると冷静に評価できます
- 実際の検索結果・検索候補を見てみる —— その店名で検索し、検索結果の並びや検索候補の出方に変化がないかを目で確認します
- 露出の変化を振り返る —— SNS更新の停止、掲載メディアの終了、広告の停止など、名前に触れる接点が減っていないかを振り返ります
単月の下落だけで施策をやめてしまうのは、早計なことが多いものです。 指名検索は認知の積み上げを映す指標なので、3〜6か月の傾向で判断する前提を、 記録を始める時点で決めておく(スタッフとも共有しておく)と、落ち着いて対応できます。
2つのツールの数字を突き合わせる
Search ConsoleとGA4の数字を並べると、変化がどの段階で起きているかのあたりが付けられます。 表示回数が増えているのにクリック数が伸びないなら、検索結果での見え方に改善余地があるかもしれません。 クリックは伸びているのに問い合わせが増えないなら、サイト到着後の内容や導線を見直すきっかけになります。 いずれも「仮説のきっかけ」であって、原因の特定には個別の確認が要りますが、 こうした突き合わせができること自体が、2つのツールを併用する大きな利点です。
よくある誤解と実際
指名検索の計測に取り組み始めた方が抱きがちな誤解を、「誤解→実際」の形で5つ整理します。 ここを押さえておくと、数字の読み違いを避けられます。
誤解1:「表示回数=店名で検索された回数そのもの」
実際:表示回数は「検索されて、検索結果に自社サイトが表示された回数」であり、 検索された回数そのものではありません。自社サイトが表示されなかった検索は含まれませんし、 プライバシー保護のため一部のクエリはレポートに表示されないと案内されています。 絶対値ではなく、同じ条件で測り続けた推移を見る指標として使うのが正しい付き合い方です。
誤解2:「GA4を入れれば、検索キーワードが分かる」
実際:GA4単体では、どの検索キーワードで流入したかまでは分かりません。 キーワード単位の把握はSearch Consoleの役割です。GA4は「サイトに来た後の行動を見るツール」と割り切り、 Search Consoleとの連携や併用でキーワードの情報を補うのが基本の形です。
誤解3:「数字が増えたら、直前の施策の効果と考えてよい」
実際:時期の一致は、効果の証明ではありません。話題化・季節要因・仕様変更など、 施策以外の要因でも数字は動きます。施策メモと突き合わせて関係の見当を付けつつ、 断定はせず、翌月以降の推移で確からしさを確かめていく姿勢が、判断の質を保ちます。
誤解4:「本格的な計測には有料ツールが要る」
実際:店舗や中小規模の事業が指名検索の推移を追う目的なら、 Search ConsoleとGA4という無料ツールの組み合わせで完結できます。 有料ツールの競合分析や順位計測が活きる場面もありますが、まずは無料の2つで月次記録を続け、 物足りなさを感じてから検討すれば十分です。
誤解5:「数字は毎日チェックするべき」
実際:指名検索の数字は日々細かく変動するため、毎日見ていると偶然の増減に 一喜一憂して疲れてしまいます。店舗の意思決定に役立つのは、月1回・同じ条件での記録と、 3〜6か月単位の傾向判断です。「見る日を決めて、それ以外は見ない」くらいの距離感が長続きのコツです。
用語ミニ解説
本文に登場した用語を、初めての方向けに短く整理します。レポート画面で見かけたときの参照用にどうぞ。
- クエリ —— ユーザーが検索窓に実際に入力した検索キーワードのこと。Search Consoleでは「検索キーワード」とも表記されます
- 表示回数(インプレッション) —— 検索結果に自社サイトが表示された回数。指名検索の規模感を測る目安になります
- クリック数 —— 検索結果から自社サイトがクリックされた回数。サイトへの実際の来訪の目安です
- CTR(クリック率) —— クリック数÷表示回数。検索結果に表示されたうち、どれだけクリックされたかの割合です
- 平均掲載順位 —— そのクエリで自社サイトが検索結果の何番目に表示されたかの平均値です
- プロパティ —— Search ConsoleやGA4における計測対象(サイト)の登録単位のことです
- 所有権の確認 —— Search Console登録時に、自分がそのサイトの管理者であることを確認する手続きです
- オーガニック検索(自然検索) —— 広告枠ではない、通常の検索結果経由の流入のこと。GA4では「Organic Search」と表示されます
- 参照元/メディア —— どこから(参照元)どんな経路で(メディア)サイトに来たかを表すGA4の項目。「google / organic」などと表示されます
- ランディングページ —— 訪問者がサイトで最初に着地したページのこと。指名検索ではトップページになることが多い傾向があります
- セッション —— サイトへの1回の訪問のまとまりを数える単位です
- キーイベント —— GA4で予約・問い合わせなどの重要な行動を数える設定。以前は「コンバージョン」と呼ばれていました
- 正規表現 —— 文字列のパターンを指定する記法。本記事では表記ゆれを縦棒(|)でつないでまとめて絞り込む用途で使います
よくある質問
Search Consoleの登録に費用はかかりますか?何を用意すればよいですか?
指名検索数はSearch Consoleのどの数字を見ればよいですか?
店名の表記ゆれ(ひらがな・カタカナ・ローマ字)はまとめて調べられますか?
GA4だけで、どんな検索キーワードで流入したか分かりますか?
確認や記録はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
数字が急に下がったときは、何を確認すればよいですか?
ホームページがない場合でも指名検索数は調べられますか?
有料の分析ツールを導入する必要はありますか?
記録した数字は、どのように活用すればよいですか?
まとめ
指名検索を数字で追う仕組みは、無料のSearch ConsoleとGA4だけで作れます。 Search Consoleのクエリレポートで、表記ゆれを含めた店名クエリの表示回数・クリック数・CTRを見る。 GA4で、オーガニック検索×トップページ着地のセッション数と、問い合わせなどのキーイベントを見る。 そして月に1回、同じ条件で記録表に転記し、施策メモを添える。 数字が動いても原因は決めつけず、3〜6か月の傾向で判断する——この型さえ作ってしまえば、 集客施策の振り返りと意思決定は、今よりずっと具体的になります。
順番として大切なのは、計測環境を施策より先に整えることです。 指名検索を増やす施策や サジェスト広告の検討を進める前に、 まずSearch Consoleの登録と、月次テンプレートの1行目(現状の基準値)を埋めるところから始めてみてください。 Adnymousのサジェスト広告サービスをご検討いただく際も、 この基準値があると料金と照らした試算の相談がしやすくなります。
計測環境が整ったら、次は指名検索そのものを増やす施策です。検索候補で店名・サービス名との接触を増やすサジェスト広告は、この記事で作った計測の仕組みで推移を追いながら取り組める施策です。
まずは15分、オンラインでご説明します。
仕組みと試算の考え方を、貴店・貴社の数値に合わせてご説明します。 ご検討中の検索語があれば、実施の可否や条件もその場でお答えします。
15分の相談を申し込む※月額2万円から。費用は実施条件によって変わります。


