来店促進とは?
来店促進とは、お客様がお店に足を運ぶきっかけをつくり、来店を後押しする取り組みの総称です。 英語では「ストア・トラフィック」の改善と表現されることもあり、日本の店舗運営の現場では 「来店動機づけ」「来店誘導」とほぼ同じ意味で使われています。ビジネス文書では「来店促進を図る」という 言い回しで、販売計画や販促企画書の目的欄に書かれることが多い言葉です。
来店促進の対象は、大きく分けて二つあります。ひとつはまだお店に来たことのない新規のお客様に 初めて来てもらうこと。もうひとつは、一度来たことのあるお客様に再び来てもらうことです。 前者は「知ってもらう・選んでもらう」ための施策、後者は「思い出してもらう・また来る理由を伝える」ための施策が 中心になります。同じ「来店促進」という言葉でも、どちらを狙うかによって使う手段も文面もまったく変わります。
代表的な手段には、メールやダイレクトメール(DM)、LINE公式アカウントでの配信、期間限定のキャンペーン、 店頭の看板やのぼりの工夫、チラシ、口コミへの返信、Googleビジネスプロフィールの整備、 そして検索したときに店名を見つけてもらいやすくする取り組みなどがあります。 どれか一つが正解というものではなく、お店の業種・客層・来店周期に合わせて組み合わせていくのが一般的な考え方です。
POINT
来店促進は「とにかく安くして呼ぶ」ことではありません。 誰に・なぜ今・どんな理由で来てほしいのかを決めてから手段を選ぶと、 割引に頼りすぎず、利益を残しながら取り組みやすくなります。
来店促進と販売促進・集客の違い
似た言葉に「販売促進(販促)」と「集客」があります。厳密な定義は業界や会社によって異なりますが、 一般的には次のように整理すると分かりやすいとされています。集客はお客様を集めること全般を指す広い言葉で、 ネット上の問い合わせや予約の獲得も含みます。販売促進は購買を後押しするための施策全般で、 店内の陳列やセット販売の提案のように、来店後の購入単価を上げる取り組みも含まれます。 そのなかで来店促進は、「お店に足を運ぶ」という行動そのものに焦点を当てた施策を指すことが多い言葉です。
この違いを意識しておくと、施策の目的を取り違えにくくなります。たとえば「客単価を上げたい」のに来店促進のクーポンを 配ると、来店数は増えても単価がかえって下がることがあります。逆に「来店数が足りない」のに店内の陳列だけを工夫しても、 そもそもお店に来る人が増えなければ効果は限られます。今の課題が「来店数」なのか「単価」なのか「再来店」なのかを、 まず切り分けておくことが大切です。
来店促進の基礎知識——お客様の段階で考える
来店促進を考えるうえで役に立つのが、お客様を「段階」で分ける見方です。 お店から見たお客様は、おおまかに次の4つの段階に分けられます。段階ごとに、来店をためらう理由と、 有効とされるはたらきかけが異なります。
| 段階 | 来店をためらう主な理由 | はたらきかけの方向性 |
|---|---|---|
| お店を知らない人 | そもそも存在を知らない | 店名を知ってもらう接点をつくる(検索・地図・SNS・チラシ・看板) |
| 知っているが未来店の人 | 雰囲気・価格・相性がわからず不安 | 料金・メニュー・店内の様子・口コミを見える化し、初回の不安を減らす |
| 来店したことがある人 | 次に行くタイミングを忘れる・他店と迷う | 次回来店の目安や新メニューを、ちょうどよい時期に案内する |
| しばらく来ていない人(休眠) | 不満・引っ越し・生活の変化・なんとなく足が遠のいた | 押しつけずに近況を伝え、再来店のハードルを下げる案内をする |
※表は来店促進の考え方を整理するための一般的な分類であり、すべてのお店に当てはまるものではありません。
来店までにお客様がたどる流れ
新規のお客様の場合、来店までには一般的に「必要を感じる → 探す → 比べる → 決める → 来店する」という流れがあると言われています。 たとえば髪を切りたいと思った人は、スマホで「駅名 美容室」などと検索し、検索結果や地図、口コミ、ホームページ、 SNSを見比べたうえで、気になったお店の名前で改めて検索して予約方法を確かめる——という動きをとることが少なくありません。
この流れのどこで候補から外れているかによって、打つべき手は変わります。「探す」段階で見つかっていないなら 地図や検索での見え方の改善が、「比べる」段階で選ばれていないなら料金表示や口コミ、写真の改善が、 「決める」段階で離脱しているなら予約のしやすさの改善が、それぞれ優先候補になります。 来店促進というとクーポンやキャンペーンを思い浮かべがちですが、実際にはこの流れのどこかにある「つまずき」を取り除くこと も、来店を後押しする大事な取り組みです。
「思い出してもらう」ことの重要性
再来店の場面では、お客様がお店を嫌いになったわけではなく、単に「思い出すきっかけがなかった」だけ、 というケースが多いと言われています。毎日の生活のなかで、一度行ったお店の名前を覚え続けている人は多くありません。 次に同じサービスが必要になったとき、頭に浮かんだお店や、検索して最初に目に入ったお店を選ぶのは自然なことです。
そのため来店促進では、「来店の少し前に名前を思い出してもらう」設計が重要になります。 メールやLINEでのお知らせはその代表的な手段ですし、お店の名前で検索したときに情報がきちんと見つかること、 検索の入口で店名に触れる機会があることも、思い出してもらうきっかけになりえます。 店名で検索される状態(指名検索)を増やす考え方は、 来店促進と地続きのテーマです。
来店促進の進め方(7ステップ)
来店促進は、思いついた施策を単発で試すよりも、目的と対象を決めてから順番に組み立てるほうが、 結果を振り返りやすく、次の改善にもつなげやすくなります。一般的な進め方を7つのステップに整理しました。
- 現状の数字を把握する —— 月間の来店数、新規とリピーターの割合、客単価、再来店率、休眠しているお客様の人数などを、おおまかで構わないので書き出します。ここが施策の前後を比べるための基準値になります
- 課題の段階を特定する —— 前章の4つの段階のうち、どこで来店が止まっているかを考えます。「新規は来るが2回目がない」「そもそも新規が少ない」など、課題を一文で言えるようにします
- 対象と目的を一つに絞る —— 「初回来店から60日以内のお客様に2回目の来店を案内する」のように、誰に・何をしてほしいかを具体的に決めます。対象を広げすぎると文面がぼやけやすくなります
- 来店する理由を用意する —— 季節のメニュー、次回の目安時期、新しいサービス、会員向けの情報、期間限定の特典など、「今」来る理由を考えます。割引は選択肢の一つであり、必須ではありません
- 手段と文面を決める —— 対象者に届く手段(メール・LINE・DM・店頭・検索など)を選び、文面をつくります。次章の例文をひな形として使えます
- 表示内容と法令面を確認する —— 価格の比較表示、景品の金額、メール配信の同意など、キャンペーンや配信に関わるルールを確認します。後述の「景品表示法の基本」も参考にしてください
- 実施して記録し、見直す —— 配信数・反応数・来店数を施策ごとに分けて記録し、基準値と比べます。うまくいった点・いかなかった点をメモし、次回の対象や文面に反映します
このステップのうち、つい飛ばされがちなのが1と7です。基準値がないと、施策の前後で何が変わったのかを判断できません。 また、記録がないと「なんとなく効いた気がする」「効かなかった気がする」という印象だけが残り、次の改善に活かせません。 再来店の数字の見方はリピート率の計算方法と上げ方の記事で詳しく解説しています。
着手前のチェックリスト
- 今回の施策の対象者を一文で説明できるか
- お客様が「今」来る理由が、割引以外にも用意できているか
- 特典や価格の表示が、事実に基づいて説明できる内容になっているか
- メールやLINEの配信先は、お知らせの受け取りに同意した方に限られているか
- 施策ごとに反応を分けて数えられる仕組み(専用コード・専用の予約経路など)があるか
- スタッフ全員がキャンペーンの内容と期間、適用条件を把握しているか
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来店促進のメール例文・DM例文
ここからは、来店促進のメールやDMでそのまま骨組みとして使える例文を紹介します。 店名や特典、日付はすべて例です。〇〇の部分をお店の内容に書き換えてご利用ください。 なお、特典の内容や価格は実際の内容に合わせて正確に記載し、事実と異なる表現にならないよう配信前に確認してください。
来店促進メールを書く前に押さえたい5つのコツ
- 件名で用件が分かるようにする —— 「〇〇(店名)より:秋の新メニューのご案内」のように、差出人と用件を件名だけで伝えます。開封されなければ本文は読まれません
- 1通につき伝えることは1つ —— 新メニュー、休業日、キャンペーンを1通に詰め込むと、どれも印象に残りにくくなります
- 「あなたに送っている」感を出す —— 前回の来店時期や利用メニューに触れられる場合は、一文添えるだけで一斉配信の印象がやわらぎます
- 次の行動を一つに絞る —— 「予約はこちら」「店頭でこのメールをご提示ください」など、読んだ人にしてほしい行動を明確にします
- 期限と条件をはっきり書く —— 特典がある場合は、期間・対象・利用条件を省略せずに書きます。条件の書き漏れは店頭でのトラブルのもとになります
例文1:初回来店のお礼メール(来店の翌日〜3日後)
SAMPLE
件名:〇〇(店名)です。先日はご来店ありがとうございました
〇〇様
先日は数あるお店の中から〇〇(店名)をお選びいただき、ありがとうございました。
担当の〇〇です。仕上がりやその後の調子はいかがでしょうか。気になる点があれば、このメールへの返信でお気軽にお知らせください。
今回の〇〇(メニュー名)は、一般的に〇週間ほどで次のお手入れの時期を迎えると言われています。
〇月〇日ごろを目安に、またお顔を見られるとうれしいです。
ご予約はこちらから:〇〇(予約ページURL)
〇〇(店名)/住所・電話番号・営業時間
※今後のお知らせが不要な場合は、こちらから配信を停止できます:〇〇(停止方法)
お礼メールの目的は、売り込みではなく「覚えてもらうこと」と「次の来店時期を伝えること」です。 特典を付けたくなるところですが、最初のお礼メールは感謝と次回の目安に絞るほうが、受け取った方の印象がよいという考え方があります。
例文2:次回来店時期のお知らせメール(来店周期の少し前)
SAMPLE
件名:【〇〇(店名)】そろそろ〇〇の時期のご案内です
〇〇様
前回のご来店から〇週間ほどが経ちました。〇〇(メニュー名)の状態はいかがですか。
〇月は週末のご予約が混み合いやすいため、ご希望の日時がある方はお早めのご予約がおすすめです。
今月は〇〇(季節のメニュー・新サービス)もご用意しています。ご来店の際にお気軽にお声がけください。
ご予約はこちら:〇〇(予約ページURL)
来店周期に合わせたお知らせは、来店促進のなかでも基本となる施策です。 お客様にとっては「そういえばそろそろだった」と思い出すきっかけになり、お店にとっては予約の分散にも役立ちます。 「混み合いやすい」と書く場合は、実際の予約状況に基づいた表現にとどめましょう。
例文3:しばらく来店のないお客様への再来店メール
SAMPLE
件名:〇〇(店名)より、近況のお知らせです
〇〇様
ご無沙汰しております。〇〇(店名)の〇〇です。
以前ご来店いただいてから少し時間が空きましたので、最近のお店の様子をお知らせさせてください。
この〇か月で、〇〇(新メニュー・設備の変更・営業時間の変更など)が変わりました。
以前よりも〇〇(例:平日の夜にご予約いただきやすく)なっています。
もしまたタイミングが合えば、いつでもお待ちしております。
ご要望や気になっていたことがあれば、このメールに返信いただければ担当が拝見します。
※今後のお知らせが不要な場合は、こちらから配信を停止できます:〇〇(停止方法)
休眠しているお客様への案内では、来なくなった理由を決めつけないことが大切です。 「お忘れではありませんか」「最近いかがですか」と迫るような書き方よりも、お店の変化を淡々と伝え、 返信という小さな行動の選択肢を残しておくほうが、受け取る側の負担が少ないと言われています。
例文4:誕生月のハガキDM
SAMPLE
〇〇様、お誕生日おめでとうございます。
いつも〇〇(店名)をご利用いただき、ありがとうございます。
ささやかですが、お誕生月の〇月中にご来店の際、このハガキをご提示いただくと〇〇(特典内容)をお付けします。
有効期限:〇年〇月〇日まで/他の特典との併用不可/ご本人様のみ有効
〇〇(店名) 住所・電話番号・営業時間・地図
紙のDMは、メールより手元に残りやすく、冷蔵庫や手帳に貼って保管してもらえることがあるのが特徴とされています。 一方で印刷・郵送の費用がかかるため、送り先を「過去1年以内に来店した方」などに絞って使うのが一般的です。 住所などの個人情報は、取得時に伝えた利用目的の範囲で扱いましょう。
例文5:LINE配信の短文(季節メニューの案内)
SAMPLE
【〇〇(店名)】〇月限定の〇〇(メニュー名)が始まりました。
〇〇(特徴を1行で)。〇月〇日までの期間限定です。
ご予約はトークで「〇〇希望」と送っていただくだけでOKです。
LINEはメールよりも短く、スマホの画面1枚で読み終わる長さが好まれる傾向があります。 配信のたびにブロックが増えていないかを確認し、頻度や内容を調整しましょう。 LINE公式アカウントの設計はLINE公式アカウントで再来店を増やす基本設計で詳しく解説しています。
メール配信で守りたい基本ルール
広告や宣伝を目的としたメールを送る場合は、一般的に「特定電子メール法」のルールを意識する必要があるとされています。 概要としては、あらかじめ受信に同意した方に送ること、送信者の名称や連絡先を表示すること、 配信停止の方法を分かりやすく示し、停止の申し出には応じることなどが基本とされています。 会員登録や予約の際に「お知らせメールを受け取る」の同意を取っておくと、来店促進のメールを安心して送りやすくなります。 詳細は総務省・消費者庁の公表資料などで確認してください。
来店促進のアイデア——業種別の観点
来店促進のアイデアは、業種によって効きやすい方向が異なります。来店周期が短い業種と長い業種、 予約制の業種とふらっと立ち寄れる業種では、「来店の理由」のつくり方が変わるからです。 ここでは代表的な業種ごとに、考え方の観点を整理します(効果を保証するものではありません)。
| 業種 | 来店周期の傾向 | 来店促進アイデアの例 |
|---|---|---|
| 美容室・ヘアサロン | 1〜3か月ごとが目安とされる | 次回来店時期のお知らせ、季節のヘアカラー提案、スタイリストの紹介投稿 |
| ネイル・まつげサロン | 3〜4週間ごとが目安とされる | 付け替え時期のお知らせ、月替わりデザインの案内、施術時の次回予約の提案 |
| エステサロン | メニューにより幅がある | 季節の肌悩みに合わせたメニュー案内、初回カウンセリング内容の見える化 |
| パーソナルジム | 週1〜2回の継続利用が多い | 体験セッションの案内、休会中の方への近況連絡、目標の振り返り面談 |
| 整体院 | 不調を感じたときの来店が多い | 季節の体の使い方の情報発信、セルフケアの紹介、次回の目安のお知らせ |
| 飲食店 | 日常使いから記念日利用まで幅広い | 季節メニュー、記念日の予約案内、雨の日や平日限定の企画、店頭の看板改善 |
※来店周期は一般的な傾向として言われる目安であり、お店のメニューや客層によって異なります。
割引に頼らない来店促進アイデア
値引きは分かりやすい来店の理由になる一方、続けると利益を圧迫したり、「割引のときだけ来る」お客様が増えたりする おそれがあると言われています。割引以外にも、来店の理由になりうるものはたくさんあります。
- 季節性を理由にする —— 紫外線の季節、乾燥の季節、年末のイベント前など、生活の節目に合わせた提案
- 情報を理由にする —— 新メニューの先行案内、スタッフのおすすめ、会員だけが読めるお手入れ情報
- 体験を理由にする —— 新しいメニューのお試し、相談だけの時間、少人数のワークショップ
- 便利さを理由にする —— 営業時間の延長、オンライン予約の開始、駐車場や支払い方法の追加
- 人を理由にする —— 担当スタッフからの一言、スタッフ紹介、前回の会話を覚えていることを伝える
店頭と検索で「見つけてもらう」アイデア
新規の来店促進では、お客様がお店を見つける場面を増やすことが土台になります。 店頭では、看板やのぼり、メニュー表を通りから見えるようにすることで、「入ってもいいお店か」を判断してもらいやすくなります。 ネットでは、Googleビジネスプロフィールの営業時間・写真・メニューを最新にしておくこと、口コミに丁寧に返信すること、 ホームページに料金と予約方法を分かりやすく載せることが基本です。 詳しくはMEO対策の基本や口コミ対策の基本の記事も参考にしてください。
さらに、お客様が「地域名×業種」で検索し始めたその瞬間、つまり検索窓に文字を入力している段階も、 お店の名前に触れてもらう接点のひとつです。チラシやSNSで店名を見かけた人が、後から検索窓に店名の一部を打ち込んだとき、 候補の中に見覚えのある名前があれば、思い出す手がかりになります。来店促進を「来店の直前」だけでなく、 「探し始めた段階」から考える視点を持っておくと、施策の選択肢が広がります。
来店促進キャンペーンの考え方と事例(架空)
キャンペーンは、期間を区切って来店の理由をつくる施策です。うまく設計すれば、来店のきっかけづくりや 新しいメニューを試してもらう機会になりますが、目的があいまいなまま実施すると、利益だけが減って その後につながらないこともあります。ここではキャンペーン設計の考え方と、架空の事例を3つ紹介します。
キャンペーン設計で決めておく6項目
- 目的 —— 新規来店を増やすのか、2回目の来店を促すのか、閑散期の平日を埋めるのか
- 対象 —— 新規の方だけか、既存のお客様も含むのか、特定のメニュー利用者か
- 特典 —— 割引・プレゼント・追加サービス・優先案内など。原価と利益への影響を試算しておく
- 期間 —— 長すぎると「いつでもやっている」印象になり、短すぎると気づかれないまま終わる
- 告知手段 —— 対象者に届く手段か。既存客向けなのに新規向けのチラシだけで告知していないか
- 終了後の流れ —— キャンペーンで来た方に、次はどんな理由で来てもらうのかまで決めておく
事例A(架空):ネイルサロンの「2回目来店」キャンペーン
以下は説明のための架空の事例です。駅前で営業する個人経営のネイルサロンAでは、新規のお客様は一定数来るものの、 2回目の来店につながる割合が低いことが課題でした。そこで、初回来店から4週間以内に2回目を予約した方へ、 ケア用品のミニサイズを1つプレゼントする企画を考えました。告知は初回来店時の会計で手渡すカードと、 3週間後に届くお知らせメールの2回に限定。キャンペーン終了後も、付け替え時期のお知らせを続ける流れにしました。
この架空事例のポイントは、目的(2回目の来店)と対象(初回来店の方)を一つに絞っていること、 そして特典を「次の来店時に使えるもの」にして3回目以降の来店理由にもつなげようとしていることです。 プレゼントを付ける場合は、後述する景品の上限ルールの範囲内かどうかも確認しておきます。
事例B(架空):飲食店の「雨の日」企画
こちらも架空の事例です。住宅街の洋食店Bは、雨の日の来店数が晴れの日より目立って少ないことに気づきました。 そこで「雨の日の来店でデザートをもう一品サービス」という企画をLINEで告知し、雨の日の朝にだけ配信することにしました。 値引きではなく追加の一品にしたことで、価格の表示を変えずに来店の理由をつくろうとした例です。 実施後は、雨の日の来店数を企画前の同じ時期と比べて記録し、続けるかどうかを判断する計画にしました。
事例C(架空):パーソナルジムの「休会者向け」案内
最後も架空の事例です。パーソナルジムCでは、仕事の繁忙期などをきっかけに休会したまま戻らない会員が一定数いました。 そこで、休会から2か月が経った方に、トレーナーから「最近の体調はいかがですか」という近況伺いと、 復帰前に目標を一緒に整理する30分の面談の案内を送ることにしました。割引ではなく 「戻るきっかけの小ささ」を用意した例で、再開のハードルを下げることを狙った設計です。
CHECK
3つの架空事例に共通するのは、「誰に・なぜ今・何をしてほしいか」が一文で言えることです。 キャンペーンを企画するときは、まずこの一文を書いてから特典や告知手段を決めると、 目的と手段のずれを防ぎやすくなります。
キャンペーンで気をつけたい景品表示法の基本
来店促進のキャンペーンでは、割引の表示やプレゼントの内容が景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に 関わることがあります。ここでは一般的な考え方の概要を紹介します。個別の判断が必要な場合は、 消費者庁の公表資料を確認するか、専門家にご相談ください。
二重価格表示(比較対照価格)の注意点
「通常価格8,000円→キャンペーン価格5,000円」のように、販売価格と比較対照価格を並べて示す表示を、一般に二重価格表示と呼びます。 消費者庁の考え方では、比較に使う「通常価格」が実際に相当期間販売されていた価格でない場合などは、 お客様に実際よりも有利だと誤認させる有利誤認表示として問題になりうるとされています。
- 比較に使う「通常価格」は、実際にその価格で販売していた実績を説明できるか
- 「いつでもキャンペーン価格」の状態が続き、通常価格が名ばかりになっていないか
- 「最大〇%オフ」などの表示で、対象メニューや条件が分かるように書かれているか
- 「今だけ」「期間限定」と書いた場合、実際に期間が終わったら元に戻しているか
景品(プレゼント)の上限の考え方
来店や購入を条件にプレゼントを付ける場合、景品表示法では景品類の最高額や総額に制限が設けられています。 消費者庁の公表資料では、たとえば来店者や購入者全員に提供する総付景品(ベタ付け景品)は、 取引価額が1,000円未満なら200円まで、1,000円以上なら取引価額の10分の2までが上限とされています。 また、抽選などで提供する一般懸賞は、取引価額が5,000円未満なら取引価額の20倍まで、 5,000円以上なら10万円までで、景品の総額は懸賞に係る売上予定総額の2%までとされています。
※上記は消費者庁の公表資料に基づく一般的な概要です。景品類に該当するかどうかや取引価額の考え方は、 企画の内容によって判断が分かれることがあります。実施前に最新の公表資料をご確認ください。
「豪華賞品が当たる」といった派手な企画は目を引きますが、上限を超えると法令上の問題になるおそれがあります。 来店促進のキャンペーンは、小さな特典を無理なく運用できる範囲で設計するほうが、 お客様にもスタッフにも分かりやすいという考え方があります。 クーポンサイトを使った割引施策の考え方はクーポンサイト活用の考え方でも解説しています。
来店促進の効果測定と見直し方
来店促進の施策は、やりっぱなしにせず数字で振り返ることで、次の打ち手の精度が上がっていきます。 難しい分析は必要ありません。まずは次のような指標を、施策ごとに分けて記録することから始めましょう。
| 指標 | 見方 | 記録の方法の例 |
|---|---|---|
| 配信数・到達数 | 何人に届いたか | メール配信ツール・LINEの管理画面 |
| 反応数 | 開封・クリック・返信がどのくらいあったか | 配信ツールの開封率・クリック数 |
| 施策経由の来店数 | その施策をきっかけに何人来たか | 専用クーポンコード・予約時の「何を見て」欄・会計時の確認 |
| 再来店率 | 一定期間内に再び来た方の割合 | 顧客台帳・予約システムの来店履歴 |
| 施策あたりの費用 | 来店1件あたりにかかった費用 | 印刷・郵送・特典原価・配信費用の合計を来店数で割る |
| 店名での検索数 | お店の名前がどのくらい検索されているか | Google Search Console・Googleビジネスプロフィールの検索語句 |
特に「施策経由の来店数」は、記録の仕組みを用意しておかないと後から数えることができません。 キャンペーンごとに異なるクーポンコードを用意する、予約フォームに「何を見てご予約いただきましたか」という項目を設ける、 会計時に一言聞いてメモを残す、といった小さな工夫で、施策ごとの反応を比べやすくなります。 来店1件あたりの費用と客単価・継続期間をあわせて見る考え方は、CPAとLTVの基本の記事で解説しています。
また、来店促進のなかには、すぐには数字に表れにくいものもあります。たとえば店名を知ってもらうための取り組みは、 その月の来店数よりも、数か月単位での店名検索数や新規の来店数の推移に表れてくることがあると言われています。 短期で見る指標と、中長期で見る指標を分けて考えると、施策をやめるかどうかの判断を誤りにくくなります。
よくある誤解と実際
来店促進は身近なテーマだけに、思い込みで進めてしまいやすい分野でもあります。 よく見られる誤解を「誤解→実際」の形で5つ整理します。
誤解1:「来店促進=割引クーポン」
実際:割引は来店の理由の一つにすぎません。季節の提案、次回時期のお知らせ、新しい体験、便利さの改善など、 値引きをしなくても来店の理由はつくれます。割引に頼りすぎると、利益が減るだけでなく、通常価格で来ていたお客様の 満足度にも影響するおそれがあると言われています。
誤解2:「メールはたくさん送るほど来店が増える」
実際:配信の頻度が高すぎると、読まれなくなったり、配信停止やブロックが増えたりすることがあります。 大切なのは回数よりも、お客様にとって意味のあるタイミングと内容です。来店周期に合わせて送る、 伝えることを1通1つに絞る、といった設計のほうが、受け取る側の負担を抑えやすくなります。
誤解3:「キャンペーンは派手なほど人が来る」
実際:目立つ特典は注目を集めやすい一方、景品の上限や価格表示のルールに注意が必要です。 また、特典目当ての来店がその後の継続につながるとは限りません。キャンペーン終了後に「次に来る理由」を 用意できているかどうかのほうが、長い目で見たときの来店数に影響しやすいと考えられています。
誤解4:「既存のお客様は放っておいても来てくれる」
実際:満足していたお客様でも、生活の変化や単なる忘却で足が遠のくことは珍しくありません。 新規の獲得に比べて、既存のお客様への案内は費用を抑えやすいと一般に言われており、 再来店の仕組みづくりは来店促進の柱の一つです。
誤解5:「来店促進は来店直前の施策だけ考えればよい」
実際:新規のお客様の場合、来店の判断はお店を探し始めた段階から始まっています。 検索で見つけてもらえない、店名を聞いたことがない、という状態では、来店直前の施策を工夫しても届く人が限られます。 店名の認知を広げる取り組みと、来店直前の後押しを、時間軸を分けて組み合わせる考え方が大切です。 認知の広げ方は認知度を上げる方法の記事でも整理しています。
用語ミニ解説
来店促進を調べる際によく出てくる用語を、初めての方向けに短く整理します。
- 来店促進 —— お客様がお店に足を運ぶきっかけをつくり、来店を後押しする取り組みの総称です
- 販売促進(販促) —— 購買を後押しする施策全般。来店促進のほか、店内での提案や陳列の工夫なども含みます
- DM(ダイレクトメール) —— お客様個人に宛てて送る案内。ハガキや封書のほか、メールを含めて呼ぶこともあります
- 休眠顧客 —— 過去に利用があるものの、一定期間来店や購入がないお客様のことです
- 再来店率(リピート率) —— 一定期間内に再び来店したお客様の割合。来店促進の成果を見る指標の一つです
- 来店周期 —— お客様が来店してから次に来店するまでのおおよその間隔。案内のタイミングを決める目安になります
- 二重価格表示 —— 販売価格と、通常価格などの比較対照価格を並べて示す表示。比較価格の根拠が問われます
- 総付景品 —— 来店者や購入者の全員に提供するプレゼントなど。景品表示法で上限が定められています
- 特定電子メール法 —— 広告・宣伝目的のメール送信について、同意の取得や表示事項などを定めた法律です
- 指名検索 —— 店名・サービス名など固有の名前で行われる検索。お店の認知度を測る参考になります
- 検索候補(サジェスト) —— 検索窓に文字を入力すると表示される関連キーワードの候補。検索エンジンが自動で生成します
よくある質問
来店促進とは何ですか?
来店促進のメールはどのくらいの頻度で送ればよいですか?
来店促進のメールやDMの例文はそのまま使ってもよいですか?
来店促進のキャンペーンで割引をするときの注意点は?
割引以外の来店促進アイデアにはどんなものがありますか?
来店促進の効果はどうやって測ればよいですか?
新規客とリピーターでは来店促進の方法を変えるべきですか?
来店促進と検索候補(サジェスト)にはどんな関係がありますか?
来店促進を外部に相談したい場合、まず何を準備すればよいですか?
まとめ
来店促進とは、お客様がお店に足を運ぶきっかけをつくり、来店を後押しする取り組みです。 新規のお客様には「知ってもらい、初めての不安を減らす」施策を、来店経験のあるお客様には 「次に来る理由とタイミングを伝える」施策を、休眠しているお客様には「戻るハードルを下げる」案内を——と、 お客様の段階に合わせて手段と文面を選ぶことが基本になります。
メールやDMは、この記事の例文をひな形に、伝えることを1通1つに絞って書いてみてください。 キャンペーンを行う場合は、目的と対象を一文で言える状態にしたうえで、二重価格表示や景品の上限など 景品表示法の基本を確認し、施策ごとに反応を記録して見直していくことが大切です。 割引だけに頼らず、季節・情報・体験・便利さ・人といった来店の理由を組み合わせることで、 利益を残しながら来店促進を図りやすくなります。
そして来店促進は、来店の直前だけでなく、お客様がお店を探し始める段階から始まっています。 「地域名×業種」で検索を始めたお客様が検索窓に文字を入力するその入口で、店名に触れてもらう機会をつくり、 来店を検討する候補として名前を思い出してもらうことを図る——サジェスト広告は、そうした認知の積み上げを担う選択肢のひとつです。 メールやキャンペーンと役割を分けて検討したい場合は、サービス紹介や料金もあわせてご覧ください。
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仕組みと試算の考え方を、貴店・貴社の数値に合わせてご説明します。 ご検討中の検索語があれば、実施の可否や条件もその場でお答えします。
15分の相談を申し込む※月額2万円から。費用は実施条件によって変わります。


